君のとなり様に提出。






なんや分からんけど、あいつ見てたらめっちゃイライラするわ。
いっつも跡部の隣におるし、跡部も万更でもなさそうやし。
あいつが視界に入るたんびに俺の心を掻き乱すんや。
心閉ざすんは得意なはずなんやけどな。
なんや、テニスにしか使えへんのかと思ったけど読書する時とか岳人相手ん時は普通に使えるわ。
あいつは無敵か、無敵なんか。
今度テニスで対決してみようかと思ったけど、あいつ確か運動音痴やったわ。
体育の時間しょっちゅう転んでるし、バレーのボールとかまともに返したとこ見たことないもんな。
対決はやめといたろ、俺こう見えて優しいさかい。
じゃあ何でこんなに優しい俺がイライラしてるんや?って思って岳人に聞いたら「お前あいつのこと好きなんじゃねーの?」って言うさかい一発殴っておいた。
検討違いもいいとこや。
俺があいつを好き?…ないない。
まぁあいつスタイルと顔はええさかいな、別に悪くはないで?
どーしても付き合ってほしいって頼まれたら俺の彼女にしてやらんこともないで。
ほら、はよ俺に頼んで来いや。
付き合って下さい、って。
じゃあ俺もお前を好きになってやるわ。
そりゃ付き合ってんのにお互い嫌いとかはあかんやろ?
付き合うんやったらお互い好きにならな、な。
いきなり告白も難易度高いし、跡部の幼なじみってことで俺と仲良うする予定なんやろ?
じゃあそろそろ俺に話しかけなあかんのちゃう?

「あっ、忍足くん。」

俺の思いが通じたんかふにゃっと笑いながら俺に話し掛けてきた。
………やっぱ可愛いわ。
ソプラノみたいな声色がオレの耳に届いた瞬間、幸せな気持ちになった。
なんや、もっと俺の名前呼んでくれてもええんやで?
何やったら、侑士って呼んでくれてもええで。…って思ったけど絶対口には出さん。
そんなん俺が好きみたいやさかいなぁ。

「景吾が呼んでたよ」
「………は?」
「だから、景吾が」
「なんで跡部やなくて景吾やねん。」

俺のことでさえ名字呼びやのに、跡部のことは景吾っておかしいやろ。

「えーっと……景吾は幼なじみ、だから?」
「なんで疑問文やねん」

首を傾げる姿も可愛いな。とか思ったけどそんなんで騙されるほど俺は単純やないで、それだけで許すわけないやろ。

「俺のことも侑士って呼んでみ?」
「えっ、あの…忍足くんどうしたの?」
「跡部のこと景吾って呼ぶなら、俺のことも侑士って呼ばなあかんやろ?」
「………うん、?」

イマイチ分かってなさそうに頷いて、少し照れながら「……侑士、くん」って呼ぶあいつの姿はめちゃくちゃ可愛いかった。
ほんまは侑士って呼ばせたいところやけど、あいつに免じて"くん"付けで許してやろ。
焦らんでも、慣れさせたらいいだけやさかいなぁ。

「おい忍足、俺様が呼んでるのに来ないとはいい度胸じゃねーか。あーん?」
「…なんや、跡部かいな」
「(こいつ俺様を何だと思ってやがる)…明日の青学との練習試合の打ち合わせすっぞ」
「しゃーないなぁ、」

残念そうに部室を出ようとしたら後ろから「ゆ、侑士くん!試合、頑張ってね!」ってあいつに言われた。
………あかん、めっちゃ可愛え。
跡部がいるのもお構い無しにあいつを抱き締めれば、めっちゃビックリした顔しとった。(まぁそんな顔も可愛いんやけど)

「試合、見に来てくれへんか?」
「わ、私が?」
「せや、応援してーな」
「……う、うん」

後で跡部にどやされそうやけど、今ので充電完了や。
明日の試合は青学には悪いけど、何がなんでも勝たなあかんなぁ。

「やっぱり、好きな子の前で負けるんは格好悪いさかいな」
「…え!?」
「ほな、」


部室を出れば跡部が壁にもたれてた。
「やっぱりお前、あいつのこと好きなんじゃねーか」
「…盗み聞きとか悪趣味やなぁ」
「うるせぇ。俺様の許可なくあいつに抱き付いてんじゃねーよ」
「はいはい、」

お前みたいな天然タラシにあいつは譲らないからな!とか言うてたけどシカトや、シカト。
そんなもん、好きになってしもたんはしゃーないやろ?


次の日青学に勝って、あいつに告白すれば「わたしも、前から侑士くんが好き…です」と晴れて俺たちは恋人同士になれた。
実は前からあいつと両思いで、跡部が俺の気持ちを含めて全部知ってたんは…また別の話。





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素敵な企画に参加させて頂きました。
ありがとうございました(*^^*)



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