※白石視点
「なぁ、七夕って何の日なん?」
部室に飾られた笹の葉を眺めながら、ポツリと言ったマネージャーである__の一言に一瞬で空気が凍った。
「__ちゃん、ボケてんの?」
「えっ、小春ちゃんは七夕が何の日か知ってるん?」
至って真面目に聞き返す__は天然というか変わってる。
__が天然なんは、前から知ってた(つもりやった)けど。
マネージャーなる時も「部員補佐になりたいです!」って言われたくらいやしな。
普通は「マネージャー希望です」って言うんちゃうん?
まぁおもろかったから、オサムちゃんは1コケシあげてた。
でも七夕知らんって…。
今どき小学生でも知ってるやろ。
よく今まで知らんまま過ごせたもんやな、逆に感心するで。
この子は過去15年間の7月7日、一体何してたんや。
「短冊に願い事書いたことないん?」
「あるよ」
いやいや、あるんかい。
ほな分かるやろ、大体分かるやろ。
あかん、突っ込みが追いつかへんわ。
この子どんだけ天然なんや。
「七夕はな、その書いた願い事が叶う…かもしれん日やで」
「謙也さん、その説明アバウトすぎますわ。」
「そーなん?でもあたし、毎年同じ事書いてんのに叶わんわ。」
「自分、短冊に何て書いたん?」
「世界征服」
「………」
…怖すぎるでこの子。
過去15年間?の七夕で世界征服願ってるって、かなり危険ちゃうか?
「そ、それは無理ちゃうかな?」
「え。何で?」
「規模デカいのはアウトや、アウト!」
「そうなん?」
「せや!なっ、白石?」
「お…おお」
無理矢理な感じがある謙也の苦しい言い訳に、しぶしぶ__は納得した。
「じゃあ今年は規模小さくしてみるわ…」
「そうし、大阪くらいなら叶うわ!」
規模が大阪も充分でかいんやけどな。
頭を悩ませながらも必死に短冊に願い事を書く__を皆は何も言わずに見守った。
「、できた」
「みっ、見せてみ!」
__の手元を覗いた謙也は、直後に硬直した。
それから真っ赤な顔して「アホか!」とか叫びながら部室を出て行った。
なんやねんアイツ、相変わらず足速いな。
「__ちゃん何て書いたん?」
「どうせ謙也さんのことでしょ」
財前たちが短冊を覗き込めば「今年は願い事叶うんちゃうか」「え、もう叶ってるやろ!」とか冷やかしとった。
やっとくっついたんやなぁ、と優しく笑う小石川は__に「謙也の短冊、見てみ」と笑っとった。
「謙也くんの彼女になれますように」
「今年こそにヘタレ卒業!__に告白!」
戻って来た謙也は、改めて__に告白してた。
「二人共遅過ぎやねん、俺らの方がもどかしかったわ」って言ってやれば、恥ずかしそうに__と笑っとった。
織姫さんと彦星さんは無事会えたみたいやな。
七夕ネタ!一日過ぎたとか気にしない!!