なまえへんかん
※ジローが女々しい











ジローくんの名前って、どんな字?


最初に話し掛けてきたのは__ちゃんからだった。
俺のぶっきらぼうな字でノートに慈郎、と書けば「慈悲の慈、なんだね」と言われた。
慈悲の意味がよく分からなかったけど、あまりいい例えだとは思わなかった。
そこから毎日のように__ちゃんと話す様になった。
膝枕とかしてもらったり、たまに一緒に昼寝したり。
「放課後暇なら部活見に来て欲しE〜!」と頼めば、毎日見に来てくれた。

一緒にいる時間が長くなればなるほど、__ちゃんのことが分からなくなってしまった。
ニコニコしてると思っていたら、急に明後日の方向に視線を反らすし。

「ん〜、元気なE〜?」
「そんなとこないよ。」

それでも、__ちゃんから離れることはしなかった。
__ちゃんといるのは、跡部たちとは違う安心感があったから。
でも跡部たちとは違って、いつか__ちゃんが離れて行くのではないか、という不安もあった。

「ジローくんの髪の毛、結構好きだよ。ふわふわだし、色も綺麗。」
「嬉C〜!俺も__ちゃん好き!」
「ふふ、ありがとう。」

あの頃は毎日のように__ちゃんに、好きって言っていた。
その「好き」がテニスに対する好き、と一緒だと思っていた。

しばらくすると、__ちゃんがあまり俺に会いに来なくなった。
少し哀しかったけど、いつものように部活は見に来てくれるので、部活中は出来るだけ寝ない様に頑張った。

「久しぶり、ジローくん」
「あっ__ちゃんだC〜!」
「私ね、」


跡部と付き合うことになった。


__ちゃんの口から聞いた時は、胸がぎゅうっと締め付けられた。
でも、跡部の横で笑う__ちゃんはキラキラしてて、スゴくお似合いで。

「えー!俺知らなかったC〜」
「だってジローくん、会いに行っても寝てるんだもん」
「来てるなら起こして欲しかったC〜!!」
「ふふ、ごめんね」

__ちゃんは、ズルい。
その笑顔に俺が弱いこと、知ってるくせに。
俺が跡部に適わないことも、知ってるくせに。
俺じゃまだ届かないところに行っちゃう__ちゃんを、素直に見送れるほど大人じゃなかった。

「跡部狡りぃー!」と嘆けば、跡部は優しく俺の頭を撫でるんだ。
笑いながら「悪いな、ジロー」なんて言われたら、跡部を見上げることしか出来なかった。

「………でも、俺嬉しE〜。…__ちゃんの恋人が跡部で。すっげーお似合いだC!!」
精一杯の笑顔で笑えば、跡部も__ちゃんも優しく微笑んだ。


今思えば俺は、__ちゃんが「好き」だったんだと思う。
もし相手が跡部じゃなかったら、なんて考えるのはやめた。
その時初めて、慈悲の意味を知った気がした。



―――――――――――――――――
理想郷様に提出。


リンネ(vo.初音ミク)を聞きながら書いたら
スゴく女々しく、切なくなりました…(笑)

素敵な企画に参加させて頂きました。
ありがとうございました!



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