聖書、と呼ばれるくらい完璧な白石に告白された。
こんな平凡以下な私に?と思ったが「むっちゃ好きやねん」と言われれば自然とオーケーしていた。
その日から白石に釣り合う女になるために眼鏡をやめて、ダイエットをし始めた。
それでも駄目だと思い髪を染め、化粧も覚えた。
出来るだけお洒落をして、今まで興味も無かった流行にも敏感になった。
みんなに綺麗になった、とか言われるのに白石は何とも言えない顔をした。
私が綺麗になればなるほど白石は顔をしかめた。
付き合って半年が経った日に白石から別れを切り出された。

「今の自分、最悪や」

白石と付き合いたての頃より痩せたし、前よりお洒落にもなった。
お肌の手入れも爪の手入れも欠かさなかったのに、最悪だと言われた。
全てがどうでもよくなって化粧もダイエットもお洒落も、何もかもやめた。
また廃れていく私を見て周りの子は何も言わなくなった。
髪を染め直すのもめんどくさくなってほっておけば、枝毛が出来た。
コンタクトも手入れがめんどくさくなって眼鏡に戻せば、もう白石と付き合っていたころの自分の面影は消えてしまった。

「そっちの方が似合ってる」

こんな私に優しく話かける白石は、本当に悪趣味だと思う。










▽けまんそう
優越、優越感



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テーマ「人外ファンタジー」
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