「__!明日試合やから見に来てーや!」

同じクラスの謙也くんに誘われて、いいよって軽いノリで試合見に来たら少し後悔した。
テニス部の人気ぶり忘れてたわ、つーかめっちゃ人多いし。(女の子ばっかやけど)
全然見えへんし。というか人混み苦手やねん、私。
間近で見るのは諦めて、仕方ないから少し離れた木陰から試合を見てた。
いっつもへらへらしてる謙也くんでも、テニスの試合の時は真面目な顔になる。
そういうとこが女子から人気あるんやろーなー、って思う。
しばらくしたら、謙也くんがやたら周りをキョロキョロしてるのが見えた。
あーあ、ペアの子にどつかれてるやん。
つーか謙也くんほんま足速いな。

「ウォンバイ、四天宝寺!」
あっちゅーまに試合も終わって、帰ろと思ったら謙也くんに見付かった。

「__!」
息一つ乱さずに笑顔の謙也くんは、スゴいと思う。
此処、コートから結構離れてるんやけど。

「全国大会出場おめでとう」
猿でも言えるくらいありきたりの言葉を掛ければ、恥ずかしそうに俯く謙也くん。
こういう仕草も女子から人気あるんやろーなー。
なんか可愛いし、うん。謙也くん見てたら守りたくなる。
白石くんにはへたれとか言われてるけど。

「俺な、イグアナ飼ってんねん」
「?おん、」
「せやからな、今から見にこーへん?」
謙也くんからの急なお誘いでびっくりしたけど、どうせ暇やから快くオッケーした。(あとイグアナ見てみたいし)
二人で一緒に白石くんたちの所に戻る時も、歩く歩幅を合わせてくれるとことか、謙也くんは優しい。

「悪い白石!俺打ち上げパス!」
「__ちゃんやん、来てたんや」
「あ、うん…謙也くんに誘われて。」
「つーことでこれから__と」
「どうせ謙也さん、"今から俺が飼ってるイグアナ見にこーへん?"とか誘ったんでしょ」
「センスなさすぎやろ!」
「うっさいわ!つーか財前何で知ってんねん!」

白石くん達にからかわれながらも別れた後、いざ二人になったら急に恥ずかしくなってきた。

「ほ、ほんまに行ってええん…?」
「おん、…あー。悪いな、急に誘って」
「いや、イグアナ見てみたいし…」

何でこんなシチュエーションになったんやろ。
さっきまで謙也くんのこと意識すらしたこと無かったのに急にドキドキし始めた。
チラッと隣を盗み見したら運悪く謙也くんと目合ったし、………反らしにくい。

「………」
「………」

あ、あかん。ほんまにドキドキして来た。
目合ったんとか初めてちゃうのに、…今までどうやって反らしてたっけ。
お互い反らさへんまま見つめあってたら急に謙也くんが立ち止まった。

「__、聞いてほしいんや」
「お、おん」
「好きや」
「…イグアナが?」
「自分、ボケてるん…?」
「ご、ごめん。そんなつもりは無かったんやけど。」
「付き合ってほしい」
「…晩ご飯の買い物に?」
「………」
「ご、ごめん!今のはわざと!」

はぁー、と盛大に溜め息吐かれたら流石に凹む。
ちゅーかうちらの学校はお笑いで成り立ってる感じやん。
そんなシリアスに言われたらボケてまうやん、うん。

「ほんまは、全国大会終わってから言お思ってたんやけど」
「おん…」
「俺は__が好きや、付き合ってほしい」
「…………私、」
「……」
「謙也くんのこと、好きかもしれん」

さっきからドキドキしっぱなしやねん、って笑えば謙也くんに抱き締められた。

「堪忍な、…ずっと触れたかった」
「?!」
「なぁ、キスしてええ?」



「………おん、」
初めてのキスのは、ポカリの味がした。


(へたれ卒業やな、謙也)
(!?しし、白石お前らいつから)
(二人が見つめ合ってる時からいたばい)
(なっ、)





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -