これの続き。


「…えっと。ねぇゆっきー、何でこいつらもいるわけ?」

ゆっきーに「バイト終わってから俺とデートしよう」と連れられて来たのはあのゲーセンだった。ばっちりそこに紅白コンビという要らぬおまけ付きで。

「久し振りじゃのー。遊ぶのは映画以来じゃな」
「ゆっきー私こいつらいるとか聞いてないんだけど」
「つうかお前付き合い悪ぃんだよぃ!折角何回も俺が誘ってやってんのによ、全部断るとかあり得ねーだろぃ」
「え?ブンちゃんそれ初耳なんじゃけど。つうか何で連絡先知っとるん、」
「仁王話がややこしくなるからちょっと黙って」

ゆっきー曰く、本来なら放課後は部活があるらしいが、今日は部長権限で休みにしたらしい。そして本日3月5日はめでたくもゆっきーの誕生日だと言うのだ。ゆっきー初耳だよそれ…何もプレゼント用意してないですよ、私。

「一緒に過ごせるだけで俺は満足だよ」

ゆっきーの華麗なるウインクに思わず卒倒しそうだったけれど、何とか堪えた。一つだけ不可解なのは、何故こいつら(紅白コンビ)もいるか、ということだ。

「だって二人で遊んだら奢ってくれる人がいないじゃん。研修生には奢らせたくはないからさ?」

あれ、いつの間にか呼び捨てになってません…?ゆっきー前まで"さん"付けでしたよね?

「え、じゃあ幸村が今日俺ら呼んだんヒモ?財布係?」
「まぁそういう事だね」

帰っていいかな幸村くん。と恐る恐る聞く赤髪だったが、ゆっきーの「明日から一ヶ月お菓子禁止ね」という一言で赤髪はそれ以上何も言わなかった。どうやらゆっきーは、部活の中で絶対的権力をお持ちのようだ。

「まあとりあえずプリクラ撮ろうよ」

ゆっきーの一言でわたし達は四角い箱の中に入った。プリクラまで移動する時、周りから痛いくらいの視線を感じたんだけど、それってこの三人に対してだよね。そりゃ見た目イケメンだもん、わたしもこの三人が歩いてたらガン見するよ。白髪と赤髪は別の意味(主に髪色)で、だけど。

「研修生はどの機種がいい?」
「へっ、機種?どれ、でも…」
「幸村くん俺ナナイロ以外」
「じゃあいつものでいっか」

今までプリクラの機種など気にしたこと無かったけど、男子でも機種重視するんです?適当に空いてる機種に入って「うわこれ写り悪い!機種ミスったね!」みたいなのが普通だと思ってたんだけど…。本当に彼らは男子中学生なのだろうか?

無事プリクラを撮り終わって(勿論赤髪と白髪の奢り)、わたし達は近くのスタバに来た。あ、ここ前徳川くんと来たとこだ。

「俺いつものね、研修生は?」
「あ、抹茶ティーラテで…」

二人が買いに行ってる間、わたしとゆっきーは席を探していた。うろうろしていれば、すぐ近くから「幸村ぶちょー!」と何処かで聞いてきたことがある声が聞こえてきた。

「あれ、赤也?赤也がスタバなんて珍しいじゃないか」
「柳先輩と柳生先輩もいるっス!あ、あんた何で幸村ぶちょーといるんスか!」
「えっと、いや、その、」
「二人でデートだけど」

サラリととんでもないことを言うゆっきーに、ワカメだけじゃなく私も驚いた。え、いやいや紅白コンビもいるでしょーが。

「幸村くーん…って、いたいた!あ?赤也じゃねーか」
「丸井先輩!?え!?」

何で丸井先輩と仁王先輩もいるんスか!と喚くワカメに可哀想だから私がネタバラししてあげた。紅白コンビが財布係というところはちょっと脚色したけど。

「ほい、抹茶ティーラテ。」
「ありがとう…あ、お金」

白髪に手渡された抹茶ティーラテを受け取れば「お金いらんから、これからは白髪じゃのぉて仁王か雅治って呼んでくれん?」という訳の分からない提案をされてしまったので、一応仁王くんと呼ぶことにした。その間にも、ワカメたちは「先輩らが座る分確保するっス!」と店内から椅子をかき集めていた。え、合流する感じですか?隣にいるゆっきーに視線を移せば、何か閃いた顔をしていて…

「そうだ!ジャッカルと真田も此処に呼ぼうよ!」

ゆっきー、それ最早デートじゃなくてテニス部の集会です。
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