世間ではもうすぐクリスマスらしい。私には関係ないけど、…だって彼氏いないし、いないって言うか作らないだけだし。うん、断じてモテないとか違うよ?違うからね?
先日バイト先の同僚、越前リョーガに「イブの夜ツリー見に行かねえ?」と誘われたが丁重にお断りしておいた。だって私バイトだし。あいつと一緒に出かけて、勘違いされたくないのもあるけど。
そんなことを考えながら帰っていたら、ふと駅前の大きなツリーが見たくなったので立ち寄ってみたら、意外な人物に遭遇した。

「あ、光くん」
「…研修生さんやないですか」
「えっと、誰かと待ち合わせ?」
「…ちゃいますけど」

じゃあ、とそこまで言い掛けて口が止まった。じゃあ?じゃあ何?いま私は、なにを言おうとしていたのだろうか。じゃあ一緒に、と言おうとしていた自分が何となく恥ずかしくて、光くんの顔が直視出来なかった。彼みたいなイケメンを誘うなんて、おこがましいにも程がある。

「じゃあ俺とツリー見ません?」
「えっ」
「…周りカップルばっかやのに、一人でツリーはキツいっすわ」
「あ、うん。そうだよね、」

キラキラとイルミネーションされたツリーの周りには、どんどん人が集まって来ていた。確かに一人だと、少し浮くかもしれない。何気なく隣を見れば、ツリーなんかよりもずっと綺麗な横顔があった。
そう言えば、何で光くんってピアス開けたんだろう?似合ってるけど…少し勿体ない気がした。

「……研修生さん、見すぎっすわ」
「えっあ、ごめん」

ヤバい恥ずかしい、光くんにばれてたとか死にたい。どうしよう気まずい、気まずすぎる。これは何か言い訳しなくては。

「えっと、あの、本当にごめん…悪気は無かったんだけど、無意識というか……。光くんの横顔綺麗だなあって」
「……それ、本気で言うてます?」
「う、うん?まあ、嘘ではないけど…。」

そうっスか、と呟いた光くんはそのまま俯いてしまった。ツリー見なくていいの?と尋ねても、「帰るんで、送りますわ」とわたしの手を握って彼は歩きだした。
そのまま家まで送ってもらっちゃって、「なんか光くんって、私の彼氏みたい。」と笑ってみたら「…研修生さん、アホちゃいますか」とぶっきらぼうに呟いて、光くんは帰ってしまった。


彼の顔がどことなく赤かったのは、気のせいだろうか?
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -