徳川くんって何であんなに大人っぽいわけ?ってかいい子すぎない?だってあれで高校生とかヤバくない?私があと三年若かったら惚れてたね、うん。

「……何でそれを本人(俺)に言うんですか」
「えっと、素直な感想?」
「研修生さんって…、」
「……」
「……」
「え、なに?」

何でもないです、と無かったことにされた。うん、逆に気になる。逆に。しかし徳川くんは入江っちと違い無口なので、これ以上聞いても無駄だと思って、目の前のカフェオレを啜った。ああ、ちなみに今日はバイトではなく徳川くんとスタバデートである。

「そう言えば…何で私、徳川くんとスタバに来たんだっけ」
「この前借りてたゲームのお礼です」
「え!そんなの全然いいのに!私も徳川くんから借りてたし!」
「いえ。…俺が来たかったのもあるので、気にしないで下さい」

あー、マジで徳川くんいい子だわ。いや本当に。あの馬鹿(越前リョーガ)も徳川くん見習えよな、マジで。半年前あいつに貸した千円、未だに返って来ないんですけど。

「研修生さんは、入江先輩と仲が良いですよね」
「あー、ハーゲンダッツの仲だからね」
「ハーゲンダッツ…?」
「うん、ハーゲンダッツ」

ただ単に、入江っちにハーゲンダッツを奢って貰ってる、とは言いにくかったので、脚色して「二人ともハーゲンダッツが好きな同好会のようなものだよー」と言っておいた。別に嘘ではない、だってみんなに愛されているハーゲンダッツなのだから、入江っちも好きなはずだ。…たぶん。いやでも入江っちがハーゲン食べてるとこ見たことないな。…入江っちpino派だっけ?

「入江先輩ってアイス食べるんですか?」
「え、ああー…うん。たぶん。」
「(…多分?)入江先輩、合宿中は食べてなかったので。」
「あ!徳川くんも卓球部だっけ?」
「…いえ、テニス部です。」

あ、テニス部か……と私たちの間に微妙な空気が流れた。まるで恋人の名前を浮気相手の名前と呼び間違えた、あの感じだ。ちょっと気まずい。修羅場じゃないだけマシだけど。しかしこの沈黙をどうすればいいのか。相手が入江っちなら、「テニスも卓球も一緒じゃん!てへぺろ」で済むが、何せ相手は徳川くんである。てへぺろ、なんてしたら確実に引かれる。間違いなく引かれる。当たり障りのない話題を探さなくてはいけない。

「…えっと、テニスって大変?」
「まぁ、そうですね。…十球同時に返したりするんで」
「じゅ、十球!?」

可笑しい、私が知っているテニスはボールが一個のハズだ。十球とか…それもはやテニスじゃない。多分徳川くんがしてるのはドッチボールとかじゃないかな、うん。敵に挟まれて、自分だけめちゃめちゃ狙われる感じでさ。だってテニスボール十球とか可笑しいもん。それテニスじゃないし。

「た、大変そうだね」
「負け組だと素手で崖上りなので、それよりはマシですよ」

崖上り?え、テニス部だよね?ロッククライミング部も兼ねてるわけ?え???

「あとは、…五感が奪われたり精神的にやられたり、稀にネットが燃えたりしますね」

入江っちは、後輩にコートを奪われないよう試合してる…みたいなことを言っていたけど…。あいつがそんな過激なスポーツをしているようには見えない(だって体力無さそうだし)。大学生のサークルみたいなノリのテニス部だと思っていた。まさかテニスが、そんな命懸けのスポーツなんて…。っていうか、テニスでネットが燃えたりしないでしょ。

…徳川くんって、何部に入ってるんだろう?
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