先日物凄く格好いい男の子に出会った。なんかもう、オーラが輝いてるというか、周りと違うというか。そのイケメンな彼(王子)と数回顔を合わせるうちに、気付いたことがある。彼は常に目を閉じている。可笑しくないか?何で目瞑ってんの?ちゃんと見えてんの?それが普通なの?

「やぁ。」

爽やかな笑顔と共に入店してきたのは、あの瞑想王子だった。やっぱ美形だわ、ぶっちゃけかなり好みなんだよね。それにしても目開けないのかな、開眼しないのかな?前見えてます?わたしの顔ちゃんと見えてますかー…

「僕の顔に、何か付いてる?」

私がガン見し過ぎたせいで瞑想王子にうっかりバレてしまった。慌てて「何でもないです」と訂正したが、本当に?とめちゃめちゃ疑われた。案外疑り深い人である。人を疑う前にまず目を開けるべきだ。

「ふふ、そんなに目を開けて欲しい?」
「そりゃー…え!?いやいや別に、その」

案外分かりやすいんだね、と微笑む瞑想王子だが人の心を読むのはセコくないか?え、なに。私ってそんなに分かりやすい?ポーカーフェイスだと思ってたんだけどなぁ。少なくとも接客中に嫌な顔はしたこと無…たまにあるけど。

「そんな研修生さんに僕からプレゼント、受け取ってくれる?」

瞑想王子から渡されたのは赤い袋のお菓子だった。う、うん?なにこれ

「チョコレートなんだけど…、もしかして嫌いだった?」
「ちょ、チョコ?!好きです大好きです!えっもらっていいの?」

もちろん、と爽やかに微笑まれたのでありがたく受け取ってしまったが知らない人からもらったものを食べてはいけませんというあのお決まりの台詞が頭に浮かんだ。いやいや、知ってる人だし。大丈夫大丈夫。まさか毒が入ってるなんて…

「…毒とか入ってないですよね?」
「案外失礼なんだね。そんな物騒なものを僕が渡すと思う?」

で、ですよねぇ…中学生が毒物とか持ってるわけないですよねぇ。安心してチョコレートを制服のポケットに入れ、少しだけ世間話をした後彼は帰って行った。
赤い袋ってことはストロベリー味だろうか?それとも木苺みたいなシャレたものだろうか?はたまたベリーやさくらんぼ味かもしれない。期待に胸を膨らませわくわくしながらバイトを乗り超えた。チョコレートをもらえるなんて、なんてついてるんだろう!ソッコーで退勤し、事務所に行って袋を開けてみたがおかしい。チョコレートが真っ赤である。いやいや、あれだよ。コーティングされてるんだよきっと。いただきまーす、と大きく頬張ったわたしは直後に後悔することとなる。

「???!!!辛い!!!ちょ、水っ水!!!!」

あの真っ赤なコーティングは全て唐辛子とタバスコだったのだ。木苺やベリーなんて甘いものじゃない。むしろ辛い。ちょー辛い。やっぱり知らない人からもらった物はたとえその人がイケメンだろうが、絶対に食べてはいけない。

もう二度とイケメンは信用しないと固く誓った日であった。
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