大事件である。

あのホモ疑惑の、先輩の方が髪をバッサリ切っているではないか。結構ロングだったのに、ポニーテールだったのに…ツンツンに短くなっている。これはまさに大事件である。しかも今日は一人、つまり後輩らしき「ちょーたろー」くんと一緒ではない。絶対失恋だ、別れたに違いない。いや、彼らが付き合っていたとは限らないんだけど。

「髪…切ったんですね」
「まぁな、けじめだ」

けじめ、つまり後輩を振ったのだろうか?いや振られた可能性もある。だがあの後輩の懐き方は異常だった。あんなに「宍戸さん!」と言っていたのに振るだろうか?まぁどっちでも良いんだけど。しかし仲睦まじい彼らが別れるなんて…。中学生の恋愛なんて、所詮そんなものだろう。よく「あいつだけ」「◎◎が最後の女」「絶対結婚する!」とか言っている中学生リア充が、何年も続くわけない。越前リョーガなんて、半年で十人の女をたぶらかしたのだ。あいつも「こいつとなら上手くいく気がする」と毎回言っていた。十回も言っていた割りに全然上手くいっていないではないか。失恋したことがない(むしろ相手が居なかった)私には分からないが、きっと彼は今、失恋で気を落しているに違いない。何しろ髪を切るくらいなのだ。あまり落ち込まないでくださいね、と伝えれば彼は赤面して、急によそよそしくなった。

「あ、あぁ」
「また次(の恋)がありますよ」

そうだな、と笑って去って行った彼は何処か清々しかった。「ちょーたろー」くんのことが吹っ切れたのだろうか?それなら良かった。
数日後、DVDを借りに来た彼を見て驚いた。「ちょーたろー」くんが隣にいたからだ。まるで別れたのが嘘のように、相変わらずべったりだった。数日間で復縁したのだろうか?相変わらずアメトークを手に取り「ア」がどうとか「メ」が見たいとか、以前と変わらず討論していた。結局彼らは新作のスノーホワイトを借りていったのだが、会計の時に元ロン毛の先輩が、はにかみながら話し掛けてきた。

「お前のお陰で、(レギュラーに)戻れたぜ」
「え、あ、はい。良かった…ですね」

戻れたって、そういう事…だよね?ヨリを戻したって意味だよね?え、つまり戻れたってことは…

「宍戸さん!行きましょう!」
「ったく、急かすなよ長太郎。」

結論、やっぱり彼らはホモなのだろうか?
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