ついにバイト先、GE●は私を殺そうとしている。"三連休はどどーんと新作80円セール!"このチラシを見た時、何というか眩暈がした。あと悪寒。新作も80円?馬鹿じゃないの。

「で、シフトのメンバーは最悪だし…」
「最高の間違いだろ?」

隣にいる男、越前リョーガを見れば欠伸をし、白昼堂々サボっていた。おい、店長が許しても私は許さんぞ越前リョーガ。大体、このくそ忙しい時にメンバーが二人とか有り得ないでしょ。いくら店の規模が小さいからって、これは人手不足すぎる。それを徳川くんに愚痴ったら、昼過ぎにヘルプで来てくれるらしい。徳川くん天使、マジ天使。

「あーでも昼までこいつと二人か」
「あぁ?嬉しいくせによ」
「煩い黙れ仕事しろ」

淡々と接客、空いた時間にディスクチェックを続けていたがディスクが全然減らない。何故だ。研磨もしてるから?いやそれよりも、だ。さっきから越前リョーガ側のディスクが全く減っていない気がする。隣を見れば、あいつは新作のPS3のソフトを眺めていた。

「…あー、金ねーけどこれ面白そうだよな。…チビ助持ってねーかな」
「おい」
「あ?何だよ。もしかしてお前、これ持ってんの?」
「いやいやいや、まぁ持ってるけどさ。ってそうじゃなくて、仕事しろよ」

してるっつーの、と反論して来たがディスクが減っていないのが確たる証拠である。

「俺は接客担当なわけ」
「…あっそ」
「………。」
「………。」
「…なぁなぁ、ゲーム貸してくんね?」
「今徳川くんに貸してる」
「は?」
「は」
「……」
「え、なに?」

急に黙り込む越前リョーガに戸惑った。いやいや、黙られたら反応に困るんだよ。ほら、何か地雷踏んだみたいじゃん。私悪くないのに悪いみたいじゃん。

「お前さー、好きなら告れば?」
「………はい?」

いやいや、どっからその流れになるわけ。恋バナになりそうな要素一つもないし。っていうか口より手を動かせよ。

「今日あいつ呼んだのお前だろ?」
「うん(人足りないし)」
「今ゲーム貸してんだろ?」
「うん(徳川くんからも借りてるし)」
「お前普通の人が好きなんだろ?」
「うん(つか大抵普通の人だろ)」
「……………はぁ」
「え、何でそこでため息?」
「…倍率高いからだよ、バーカ」

昼過ぎに徳川くんが来てくれたんだけど、あいつが返却ばっか行かせていた。八つ当たりもいいとこである。結局、二人でレジだったので気になるついでに倍率の意味を聞いたけど、その後はいくら聞いても教えてくれなかった。…もしかして、ゲームの倍率だろうか?そうだよね、あれ今人気で品薄だもんね。私も予約してなかったらゲット出来なかったもん。まぁ二日で飽きて徳川くんに貸したけど。

「来週貸そうか?」
「あ?なにが」
「ゲーム」
「…あぁ」

ちょっとだけ嬉しそうな越前リョーガに、不覚にもときめいたのは悔しいから絶対言わない。それにしても徳川くん、返却ばっかで可哀想だなぁ。
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