研修生ちゃん、と話し掛けられたので振り向けば可憐な男の子、小春ちゃんがいた。相変わらず小春ちゃんって女子力高いなあ。で、その隣にいる緑の髪の毛は…

「小春ちゃんの相方の、」
「……」
「河童や。」
「誰が河童や!死なすど!」

河童に河童って言ったら怒られてしまった。何故怒られたのか分からない。関西人っぽく言えば、「何でやねん、意味分からんわ!お前河童で合っとるやないか!」である。

「もう、ユウくんあかんやろ!研修生ちゃんは女の子やねんから!」
「せ、せやけど小春ゥ…」

いいんです、気にしないで下さい。とマニュアルに沿って笑顔で言ったが、心は全然穏やかではない。河童のくせに…と思いながらも取り敢えず笑っておいた。小春ちゃんの前だからね、一応。

「今日はな、うちらロンハー借りに来てん」
「ああ、昨日スペシャルやってましたよね」
「そうそう、ほなユウくんが見たい言い出して…」

河童め、小春ちゃんの手を煩わせやがって。

「でも今ロンハーは全部マングース…じゃなかった別のお客様が借りられてますね。」
「あ!?誰やねんそいつ!死なすど!」
「一氏お前うっさいねん!口縫い付けんぞ!」
「え」
「あらやだ、ふふふ〜研修生ちゃん気にしないで。」

さっき鬼のような形相の小春ちゃんを見た気がしたけれどそれ以上聞けなかった。何となく聞いてはいけない気がした、というか命の危険さえ感じた。普段から乙女な小春ちゃんがあんな凶悪化するわけない、うむ。見間違いだよきっと。疲れてるんだよ、あはは。幻覚なんてやだなぁ〜、冗談キツいってば!

「もー、しゃあないからクラリンお薦めの映画にしよ!」
「な、なんで白石のお薦め見んねん!」

あ。やばい幻覚だけじゃなくて幻聴まで聞こえてきた…。白石?白石ってあの左手に…いややめておこう。小春ちゃんがあの白石と知り合いな訳がない。もし知り合いなら、此処はテニス部密集地帯?ってなるもんね。世間がそんな狭いわけないじゃないか。

「小春ゥロンハーは…」
「あ、研修生ちゃんまたね〜」

はよ戻らなクラリンの毒手やで!と小春ちゃんが河童に言ってたけどそんなまさか。いやいや、ないない。白石姓なんて世の中何万といるじゃないか。あれかな、巷では毒手が流行ってるのかな?「毒手ビーム!!」みたいな。

あとものすごく今更だけど、河童の背中に「ホモ」と書いた紙が貼られていたのは…流石に言ってあげるべきだった。



アンケートでユウジ票が意外にも多かったので書いてみましたが挫折…。
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