リアル・スティール、この映画を見て感動した人は少なくないはずだ。私は見ていないけど。でも内容は知っている。トランスフォーマーみたいにロボットを戦わせる話だ、多分。

「え?サマーウォーズ借りねーの?」
「それお前の見たいやつじゃねえか…」
「あんま細いことは気にすんなって」

謎のハロウィン事件から三日経った今日、あの赤髪とハゲ(…と言うと失礼だからこれからは煮玉子と呼ぼう)がやって来た。初めて赤髪が白髪とではなく、別の人と来ている。しかもハ…煮玉子と、だ。赤髪の交友関係は謎すぎる。

「今日は俺の奢りだろい?サマーウォーズも借りよーぜい」

頑なにサマーウォーズを手放さない赤髪に、煮玉子が呆れたように「分かったよ」と髪の毛を掻き毟る仕草をした。いや、あんたの頭には髪の毛無いんだけど、ツルッツルですけど。つーか赤髪はどんだけサマーウォーズ見たいんだよ。

「で、ジャッカルは何借りるんだよ?」
「あー…、リアルスティールって映画知ってるか?」

ああ、あのダメ親父が更正する話。と赤髪が言っているのを聞いて驚いた。え?ロボットを戦わせる「バーン!」「ドーン!」「ドカーン!」みたいな映画じゃないの?ロボットが戦う話じゃなくて、お父さんがメイン?

「親父に見せようと思って」

リアル・スティールを手に取りながら言う煮玉子に、赤髪は「ふーん、」と言うだけであった。自分から聞いておいて、さして興味も無さそうな赤髪に彼は苦笑いしていた。赤髪は普段からあんな感じなのかもしれない、人の話ちゃんと聞けよな。その間にも、赤髪はサマーウォーズだけでなく数本のDVDを籠に入れていた。

「おい、こんなに見れねーだろ」
「あー…じゃあこれとこれ辞めるから戻して来るわ、ジャッカルが」

俺かよ…と言いながらも煮玉子はDVDを戻しに行っていた。ヤバい煮玉子優しすぎだろお前…!私なら絶対キレる、間違いなくキレる。彼は赤髪のパシリ君なのかな?兎に角煮玉子の優しさに感動しながら仕事に励んでいれば、赤髪がやって来た。

「よっ」
「…いらっしゃいませ」

何だよお前、ツレねーな。と赤髪はカバンを漁りながら呟いた。数秒後「あ、」と呟いて煮玉子に手を合わせた赤髪は、信じられないことを言い出した。

「やべぇ財布忘れた」

赤髪の一言に、煮玉子は「俺かよ…」と苦笑しながらも財布を出し、結局彼が赤髪の分も払っていた。やっぱりパシリ君なのかな?それにしても彼、苦労してそうだなあ。
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