Dustbox | ナノ

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2013/09/01 15:27


至って平凡な人生を送っていたはすだった。
朝当たり前のように仕事へ行き、夜帰宅して、週末はいつもより奮発したビールを煽った。空いた日には買い物に行ったり家に引き籠って借りてきた海外ドラマを見た。彼氏の家に突然おしかけてただ飯を食らったりもした。そんなありきたりだけれど、楽しい日々を過ごしていたのだ。ようやく、ようやく「結婚しようか。」という待ち望んだ言葉を貰えたのに。
錆びついて転げ落ちた歯車はもう元には戻らないのだろうか。



しんと静まり返った部屋で、ひとり畳に座って深呼吸をした。まだその光景を見るにはいささか覚悟が決まっていなくて、だけれど見なければ自分も相手も先に進めないのだと考えると前に進むしかないのだと痛感する。こんなところでスーツの膝の部分をくしゃりと掴んで俯いている部分ではないのだと。痛いほど分かる。向き合わなければ、彼と。

「どうぞ」

そんな無機質な声を掛けられて背後を振り向く。目の下に隈を作った女性がお茶を出してくれた後、軽く会釈をして、そっと部屋から出て行った。ぱたんという襖の閉まる音が、己の心臓が抉られる音に聞こえた。息がしづらくて仕方ない。

襖から視線を外す。そしてそのまま彼の笑顔が輝く箇所へと向けた。眩しく映る彼の笑顔に私は目を眇める。



***

つっこさんの1/2-a half-で連想SSを書きたかったのだけれど、途中で断念したもの。
気が付いて私の事、嘘でもいいから。という歌詞が好きすぎて。

死んでしまった貴方の名前を呼べば、距離は近くなるのだろうか? 心の隙間は埋まるのだろうか? 私から貴方は見えないけれど、貴方から私は見えているのだろうか? 私は貴方の事を忘れはしないけど、貴方にとって私が心のささくれならば捨ててくれて構わないから。
そんな感じをイメージしてたけど誰を死なせるか迷ったのでお蔵入り。




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