ベッドに押し付けた肩は思っていたよりも細く、その白い肌の艶かしさに思わずごくりと喉を鳴らす。はだけたシャツは胸元までさらけ出していて、目のやり場に困ってしまう。動かない僕に痺れを切らしたのか、親分はつい、と僕の顎を持ち上げて軽いキスをした。僕が押し倒しているはずなのに、逆の立場になっているみたいで癪に触ったので、離れようとした親分にもう一度口づけた。今度はもう少し深めのキス。何度か唇を合わせてから、糸をひき離れた。ギリ、と睨み付けてきた親分は欲に濡れた目をしていて少なからず興奮してしまった。

「親分、」

僕は親分をベッドにうつ伏せになるような体制にすると、ゆっくりと脱がせつつ、背中に舌を這わせた。ビクッと親分の背中が跳ね、僕を止めようと仰向けになろうとする。しかし、それは予想の範囲内。親分が仰向けになる前に首もとに口を寄せた。そのまま、背中に歯を立てる。血こそ出なかったが、そこは赤く歯痕がついてしまった。

「親分、痛いの好きでしょ?」

苦悶の表情を浮かべる親分に、僕は薄く笑みを浮かべながら言った。親分が痛いのが好きなのか、ほんとうのところは分からないが、正直そんなことはどうでも良かった。

親分は、快感主義者だ。自分が気持ちよくなれればなんでもいいのだと思う。親分の口から聞いたことはなかったが行為に及んでいるときの親分を見れば一目瞭然だ。だから、僕以外の相手とも平気でそういうコトをするのだろう。僕以外にその肌を触らせないでほしいのに。その目を向けないでほしいのに。親分は同じようなことを僕には望まない。

親分の綺麗な髪の毛から、ふわりと煙草の匂いがした。



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テーマ「人外ファンタジー」
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