「落ち込んだ日のビーフシチュー」 | ナノ
・落ち込んだ日のビーフシチュー
きみはよく そう言って笑った
ミジメになりたいらしかった
外国の匂いのする香辛料
藍の穂の 気に入りの まろやかな深皿
いつになく機嫌よく 揺れるうなじ
食卓にぼやけるスプーンと
黄昏がまるめこむテーブル
きみはよく それを好きだと笑った
燕色の夜がながれでる窓
ちいさなくちびるはもうここになく
ん、と差しだされる人参も ない
(きみが愛したキッチン)
行頭あいうえお散文です
お題にできそうなところがあれば抜き出してどうぞ