03
<っ…………>
片手でペニスを搾って最後の一滴に至るまでしっかりと肉奴隷の顔面に精液を注いでから、中年男はようやく腰を上げた。
その下から現れたのは虚脱し切った青年の白い裸体である。
汗に濡れて額に貼りついた黒髪の下、青臭い精液を掛けられた青年王子の白い美貌は人形のように虚ろだった。
もはや脚を閉じる力さえ残っていないらしい。
あられもなく開かれたままの股の間で、撹拌されて泡状に変じた夥しい精液を漏らしながら、手荒な凌辱を受けて開き切った肛門がくぱくぱと卑猥な収縮を繰り返している。
これを善良な人間が見れば、まず間違いなく目を背けたであろうーーだが、次の瞬間、厩に響き渡ったのは下卑た嗤い声だった。
<……くはっ、まだほんの数回犯られただけだってのに、もうケツでイケるようになったのかよ!>
<ひ……っ>
廃人めいた表情を宿してどことも知れぬ虚空に視線を投げやっていた白雪の喉から、引き攣ったような呼気が漏れた。
惨たらしく嬲り犯された青年王子の裸体を見下ろしていたロベルトが、白雪の股間をブーツの靴底で踏みつけたのだ。
<さすがは俺の見込んだ雌豚じゃねえか……これでわかっただろう? てめえは男のチンポでケツを突かれて粗相する淫乱なんだよ>
<ち、ちが……違う……>
<てめえがどう思おうが、この厭らしい身体が好きモノだって事実は変わらねえさ……そんなことよりーー>
硝子のように虚ろな目で反駁の言葉を囁いている青年の股間を、硬い靴底で二度、三度と踏みつけて黙らせてやってから、ロベルトはようやくブーツを退けた。
再び白雪の青褪めた美貌に視線を転じたとき、中年猟師の顔からは拭ったように笑みが消えている。
<御主人様の許可が出てねえのに勝手に射精すんじゃねえよ、この淫乱が!>
<ッ…………>
詰まったような悲鳴に、破裂音にも似た乾いた音が重なったーー弛緩した青年の肢体を手荒に裏返して四つん這いの姿勢を強いるや、中年猟師が片手を振り上げて白い臀部を容赦なく打ち据えたのだ。
それも一度や二度だけではない。
皮の厚い男の掌が高い音を厩中に鳴り響かせて、幾度も繰り返し白い尻を平手で張り飛ばす。
<なに勝手に! イッてやがんだよ! ああ!? 肉奴隷は! 射精すんのに! 御主人様の! お許しが! いるんだよ! この雌豚が……雌豚、雌豚、雌豚あっ!>
<ひっ……、っ、ぃ……い……っ!>
<お前には、性奴隷の心得って奴がわかってねえようだな……>
白雪の臀部が赤く腫れ上がるまで張り飛ばしても尚、中年男の気は治らなかったものらしい。
打擲の痕も痛々しい青年の尻肉を両手で乱暴に鷲掴むや、ロベルトは幾度となく凌辱した肛門に再びペニスの先端を押し宛てた。
恐らくは肉奴隷を手酷く折檻しているうちに興奮が擡げてきたのであろう。
中年猟師の肉竿は、既に赤黒く充血して腹につかんばかりに勃起しているーーそれを緩んだ王子の肛門に挿入しながら、ロベルトは残月の形に割れた唇から禍々しい声を吐き出した。
<これから俺が嫌ってほどたっぷり躾けてやる……尻がイカレちまうまでちんぽで犯して、子種で腹が膨らむまでな!>
<…………!>
勃起した逸物を一気に嵌め挿れられて仰け反った青年の喉から、声のない悲鳴が迸った。
挿入するや否や獣のように激しく腰を打ちつけ始めた猟師に嬲り犯されるがまま、干し草の上で家畜の如く四つん這いにさせられた王子の白い裸体が、尻を突き上げられる度に為す術もなく跳ね上がる。
「何と……何ということじゃ……」
青白く輝く鏡面の中で、手荒に凌辱されている義息子の痴態を眦が裂けんばかりに瞠った蒼眼で喰い入るように凝視したまま、国王妃は口元を覆った扇子の影で脣を戦慄かせた。
いかに魔女とはいえ、貴婦人が他人の性交ーーそれも、男が男に力尽くで肛門性交を強いられる生々しい光景を目の当たりにして、自失してしまったのか?
否、違うーー
「何ということじゃ……何ということじゃ、何ということじゃ! ほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほっ!」
喧ましい嗤笑が扇子の裏側から噴き上がった。
白い喉を惜しげもなく晒して仰け反った美女が気でも触れたかのように嗤い出したのだ。
「よくやった、ロベルト! 探し出して縊り殺してやろうと思うておったが、これに免じていま暫くは生かしておいてやろう! ああ、白雪、哀れで愛おしい我が義息子……」
一転して、長い銀髪の下に陶然とした表情を佩くと、国王妃は艶かしい息を吐き出した。
青白い光を瞬かせている鏡面にーー否、正確にはそこに映し出された王子の泣き濡れて歪んだ白い美貌に指を這わせつつ、肉感的な厚みを湛えた紫唇を震わせる。
「そなたも、その賤しい下郎とともにいま暫く生かしておいてやろう……そして、義母上はこの鏡の向こうから、可愛いお前が穢らわしい下賤の男に足を開いて嬲り犯される様を存分に愉しませてもらう。ああ、白雪ーー」
熱っぽい溜め息を吐いた紫の唇が禍々しい三日月型に吊り上がった。
「そなたにはその格好がお似合いじゃ」
[end.]
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