久しぶりの地球はやっぱり俺には合わない。俺は宇宙がいいんだ。そっちのほうが合っている。なのに何故、俺がミッションでもないのにこんなところに来ているのかと言ったら、それは隣で嬉々とした表情で色彩豊かな小瓶、もといマニキュアを見つめる彼女の所為。少しイライラしながらねえこれなんてどうかな、なんて聞いてくる彼女を適当にあしらう。女は買い物にかかる時間が長い、とロックオン・ストラトスが言っていたような気がしないでもないが、それにしても長すぎる。
たかがマニキュア一つに何をそこまで悩むのか、本当に理解に苦しむ。

「さっさとしろ、一刻も早く戻りたい」
「もーティエリアは本当につれないんだから!アレルヤはずっとにこにこして付き合ってくれたのに」

 多少むくれた顔でそう言いながら数本の小瓶を手にとってまじまじと見つめる彼女。そんな彼女の顔を無意識のうちに自分の方に向かせていたことに気がついた時には、痛いよ…なんて声が聞こえてからのこと。

「アレルヤ・ハプティズムと二人で買い物に来たのか」
「え、そうだけど…だってティエリアがミッションでいなかったから!」
「ならば少し我慢をしろ」
「そ、そんなこと言ったって…」

 ティエリアあんまり買い物に付き合うの好きじゃないでしょ?と俺よりも低い位置から見上げてそう言った彼女はむくれてはいるものの、少し不安げな表情。そんな彼女の表情を見て、もっと困らせてみたいなんて思うのも事実。ただ、やはり俺以外の男と共に出かけるなんて許し難いこと。アレルヤは友達だし、なんて口ごもって言う彼女は、本当に何もわかっていないんじゃないかと思う。

「他の男を誘うくらいなら俺を連れて行け」


その瞳に誘われて
 笑う彼女に繕う言葉が見つからずに、くすくすと漏れるそれを物理的に塞げば隣に並んだ紅のマニキュアに並んで真っ赤な顔をした彼女に少し満足した。
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