窓から差し込む光で目を覚ませば、目の前には見知ったはずの天井ではなく、うちっぱなしのコンクリートの天井。吃驚してあたりを見渡せば既にスーツに着替えた彼の姿。ああ、そういえばここは彼の部屋だ。

「いつまで寝てるんだ」
「おっ起きてたなら起してくれればいいじゃない!」
「生憎、」

 よだれを垂らしながら寝ている女を起す趣味は無い、いつもの小憎たらしい笑みを浮かべながらそう言ってのけたティエリアはテーブルの上に二人分の朝ごはんを並べていた。
 こういうところ、変に素直じゃないんだからなあ、と憎たらしくも愛らしい恋人の言動について考えていると、間抜け顔だな、とティエリアに鼻で笑われた。

「第一ティエリアが昨日、明日仕事あるって言ったのにあんなことするから…!」
「まんざらでもなかっただろう」

 言い返す言葉を見つけられずに、彼に口喧嘩で敵う人なんていないんだったと思い知らされるのが毎朝の習慣みたいなものとなってしまっているからそこが恐ろしい。このまま彼と付き合っていていいのだろうか、私これじゃあ変な性癖を身に着けてしまいそうで末恐ろしいのですが。

「…早く食べろ、遅刻するぞ」
「えっあ、うん!」

 そう言えば本当に遅刻しちゃう、と飛び起きればまず服をきろ!と怒られてしまった。まあ私だって全裸で朝ごはん食べようなんて思ってた訳ではないから下着と手近にあった彼のカーディガンを羽織った。そんな格好に多少眉間の皺を寄せた彼だったけれど、私が朝からこんな格好な理由が自分にもある、とでも思ったのだろうか。一度開きかけた口を閉じて黙々と朝食を口に運んでいた。

「ねえ、ティエリア」
「なんだ、」
「料理、上手だね」

 私の奥さんになりません?と冗談めかして言えばハア、とここ最近で一番大きなため息を吐かれた。冗談で言っただけなのに、と私もティエリアの用意してくれた朝食にもくもくを箸をのばしていたら、ぼそり、とティエリアは口を開いた。

「それは俺の台詞だろう、」


まずは花嫁修業からだな

:)081214
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