「ぜえっっったいにに私の方が大佐のこと好きです」
「いやいや俺の方が全っ然好きだぜ、いや愛してる」
「私だって愛してるよ!」
「お前女だろーが」
「憧れも尊敬も全部全部ひっくるめたら愛になんのよバカサワ」
「誰がバカサワだ!」
仕事終わりの居酒屋で、隣にいるのはバカサワ…じゃなくてコーラサワー。私の同期で私の天敵。好敵手と書いてライバルと読む。とまではいかないけれど、何かとこいつと突っかかるのは事実。現に今は私の敬愛する大佐について、どちらがどれくらい思っているかを競っている。(よくよく考えたらこれバカみたい…なんて思ってない!)
「そういえば今年のバレンタインは大佐からもらえなかったみたいじゃない」
「は、なっ何で知ってんだよ!」
「あ、本当だったんだ」
「っカマかけやがったな!」
身を乗り出してそういうコーラサワーに大佐があげるわけないよねー流石私の大佐だわ!そう言って可哀想に、と頭を撫でればいつもならやめろー!なんて言う癖に今日に限ってはしゅん、とまるで捨てられた子犬みたいな顔をした。な、なにこれ、こっちまで調子狂うじゃない。
「俺、このまま大佐一筋でいいと思うか?」
「何よそれ、今更迷ってんの?バカの癖に?」
「バカゆーな、でも大佐ちっとも俺の事みてくれないじゃん」
言っとくけど私のことだってみてくれないわよ、それにあんたがモビルスーツ隊に行けなかったのだって、大佐の心情とか考えたら色んな意味に取れるけど。
なんてきっと言ったら調子に乗るから絶対に言ってやらない。わざわざ敵を勇気付けてなんてやるもんですか。
ビールの最後の一口を飲み干してから、コーラサワーの手元にあったカルーアミルクを奪って飲み干してやった。男の癖に可愛いもん飲みやがって。
「あんたは唯一私が認めたライバルなんだから、弱音なんて吐いてたら私が大佐持ってくからね」
励ますのだって、楽じゃない
ライバルだけど、親友って思ってるのは俺だけじゃない…と思いたい。
:)090214