マイスター皆さん女体化となっております。


 「あの映画あんまりおもしろくなかったねー」
「前評判だけってやつだな」
「あれ、二人で見に行ったのかい?」

 そうだよー、とにこりと笑った彼女はそのままニール・ディランディとアレルヤハプティズムの三人で会話を始めた。僕はといえば、その会話が聞こえてしまう範囲に自分の机があるため、本を読むことに集中しようと努力した。会話に参加したい?そんなわけはない。彼女たちと会話をするよりも、こうして文豪の綴った文字を追っていた方が遥に生産的だ。何が生産的、だなんて詳しく説明できない事が苛々するが。

「だから今度はあの映画を見に行こうよ」
「おー、ついでに買い物もいきてーなあ」
「じゃあ今度の土日なんてどうだい?」

 どこいくー?じゃあ新しく出来たショッピングモールとかいいよね、あ、でもあのお店も行きたいから…。
 女性特有の嬉々とした会話が繰り広げられる中、僕はというと苛々が収まらずに、更にそれが肥大化していくことにより一層苛々していた。いや、苛々なんてものではない、これは軽い憎悪と言っても過言ではないような気がする。

「そんで今度遊園地にもいきたい!」
「春休みにいくか?」
「うわー僕絶叫マシンとか乗ったことないんだ」

 それはある意味希少価値ですぞ!なんて茶化していった彼女の言葉、そしてそれに上手い具合に突っ込みをいれるニール・ディランディ。今までならば、煩くて、程度の低い、意味の無い会話…そんな程度で済ませられていたはずなのに、むしろそんな会話を繰り広げるクラスメイトたちにうんざりしていたのに。
 なのに、僕はどこかおかしくなってしまったのだろうか。

「そういうことだから、今度の土日も、春休みも、ちゃんと予定空けておいてよねーティエリア」


たった一言で、こんなにも気持ちが変わるなんて

:)090314
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