綺麗な晴れ模様の空の下、真っ白なタオルを首にかけて一生懸命に真っ赤なトマトを収穫するアントーニョと、その周りを走ったりまわったり…とその小さな手と足で懸命に動き回るロヴィーノ。
そろそろお昼だから…と思って呼びに来たはいいものの、その二人はどうにも絵になっていて、しばらくぼうっと眺めてしまっていたらしい。
名前ー!と手をぶんぶん振って走ってくるロヴィーノに気がついて、やっと自分の目的を思い出した。
「ロヴィそんなに走ったらあぶな…ってああ!」
「うわ!ロヴィ何してんねん」
走ってこちらに向かう途中、案の定というかなんというか顔から盛大に転んで土にうつぶせになったロヴィに、私とアントーニョで駆け寄る。
顔から地面についたのだろう。アントーニョが抱き上げたロヴィの顔は、土まみれになっていた。
「うわああああああああ!」
「ロヴィ男なんやから泣くなってー」
「ほらロヴィおいで」
アントーニョからロヴィを受け取ると次第に泣き止んだロヴィは、土だらけの手で土だらけの顔をぬぐう。もっと汚れているのは、私もアントーニョもわかっているものの、泣き止んで懸命に耐えるロヴィが可愛くて二人で顔を見合わせて笑った。
「ご飯の前にちょっと洗わないとね」
「せやな、ほらロヴィあそこまで競争や!」
「あっこら待て!」
眩しいくらいにさわやかな笑顔でそういったアントーニョに、あわててついていくロヴィ。
転んだそばからもう、と二人に遅れをとってから水道の方まで行けば、ホースを持ったアントーニョのせいで私まで水浸しになってしまった。
収穫期の日常
「もー濡れちゃったじゃ…」
「名前も一緒に遊ぶぞ!」
「せやんなあ、三人で遊ぶのが一番やんなあロヴィ」
「…もう、ご飯遅くなっても知らないからね」
水と二人の笑顔があまりにもキラキラしていて、たまにはこんなのもいいか、なんて思ってしまった。
:)090726