結局授業中に課題をやっていることが見つかってしまった私たちは、次の授業までにとそれなりの量の課題を出されてしまった。気分も重く午後練の為に久しぶりの体育館へと向かうと、同じく体育館に向かう途中の潔子さんに出くわす。

「潔子さーん!」
「お疲れ様っす! 今日も一段とお美しいっす!」

 隣で全身全霊でお辞儀をする田中に、負けじと私も潔子さんに近寄っていく。潔子さんはというと「恥ずかしいからやめて」といつもの冷たい態度を崩さない。

「もう大丈夫なの?」
「はい! ご迷惑おかけしました!」
「なら良かった。これ、今年度の入部届。あと二枚後からくる予定だけど」
「あ、例の問題児二人ですね! 三対三楽しみです!」

 風邪で休んでいた私を心配してくれた潔子さんから入部届を受け取る。月島蛍に山口忠。一体どんな子達なのだろう。しかし……。

「マネ希望はなしかー」

 仕方ないとはいえ、期待してなかったと言えば嘘になる。ちょっと先輩風をふかしてみたかったし、可愛がったりしたかったんだけどな。

「まー野郎が四人いるんだし、いいじゃねーか」
「……なんか田中に励まされるとか気持ち悪い」
「おっまえ素直じゃねーなあ!」
「うるさーい」

 男子って男子だけの馬鹿騒ぎとか楽しみ方がある。そういうのって傍から見て馬鹿馬鹿しくて、でも凄い楽しそうで。でも絶対に女の自分は入ってはいけないんだよなあと思わせる何かがある。だからどんなに良い子達が入ってきてくれてもたまに感じる寂しさは変わらない。潔子さんがいるから勿論私だって楽しいけれど、もうちょっと女の子が増えてくれてもとは思ってしまう。

「私は二人でも満足よ」
「え?」
「名前と二人で、満足ってこと」
「きっ潔子さぁーん!」

 思いきりその細い身体に飛びつけば、潔子さんは「少し鬱陶しいけど」と呆れたように微笑んだ。前言撤回。私も潔子さんと二人で満足です。

「名前ずりーぞ!」
「女の子の特権ですー!」

 あまりの騒がしさに周囲の視線を感じてはいたけれど、もうそんなのともどうでもいい。早く体育館で皆に会いたい。
:)121128

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