問題児。新入部員の様子を聞いた田中から返ってきた返事だ。風邪をこじらせてちょうど休んでいた私としては、あまり良いニュースとは言えない。

「田中よりも?」
「おいそれどういう意味だ」
「縁下はなんて?」
「あー、まあ苦笑してた」

 何故問題児なのかと聞くと、入部届け提出早々に教頭のヅラを吹っ飛ばして問題になったらしい。

「何それ! 超面白いじゃん」
「ブフッ! お前ヤメロ思い出し笑いしちまうだろが……っ」
「田中はどーせ一番笑ってたんでしょー」
「ばっかやろ! つーかお咎め無しの変わりにこの話は他言無用だからな」
「あんたから言ってきたくせに」
「いやまじで、問題はそのあとでよ」
「うんうん」
「あの大地さんが二人に入部届け突き返したんだ」
「え!?」

 驚くのも無理はない。大地さんといえばいつも優しくて温厚で、お日様のような温かさをもった人だ。そんな大地さんがそれほどまでに怒るなんて……。

「じゃあ二人は入部させないの?」
「いや、一応チームメイトだと自覚するまでって」
「へーじゃあちょちょいと反省の色を見せたらスグじゃない」
「いや、あいつらは想像以上に馬鹿で単細胞なんだよ」

 ニヤニヤと楽しげな田中の話によると、三対三の先輩を交えたゲームで他の新入部員に勝てたらという約束をこじつけたらしい。いかにも馬鹿だけど、ニヤニヤしている田中同様、私もこういうのは嫌いじゃない。

「んで、今日から早朝練してるわけ」
「おおー! あ、でも鍵とか大丈夫なの?」
「そこで、この田中先輩よ」

 ふん、とわざとらしく仰け反って鼻を鳴らした田中は、自ら進んで鍵の管理を申し出て二人の早朝練に付き合ってあげているのだと言う。先輩、と言う言葉に気を良くしているのだろう。きっとノヤさんもいたら、一緒になって仰け反っていたんだろうな。

「ねえ、何時からやってるの?」
「五時」
「私もいっちゃおっかな」
「おっまえこういうの好きだなー」
「あんたに言われたくない」

 お互いに目を合わせてニヤリと笑いあってから時計に目をやると、そろそろ昼休みが終わろうとしていた。

「次って数Bだっけ」
「おう」
「……」「……」

 この沈黙は課題をやり忘れたという気まずさからくるもので、きっと田中もそうなのだろう。提出期限は授業が終わるまで。

「半分に分けて、協力しねぇ?」
「勿論であります!」
:)121128

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