無愛想なご挨拶



「でも…三成さまはいつも、難しそうな顔をしていました。今はあんなにも嬉しそうで、僕も嬉しかったです。だから、お二人が一緒に来てくださったら、もっと嬉しくなると思うんです」

「…三成は何でお前みたいな弱そうな奴を好んで傍に置いているのかと思ったが…、まあ、あいつが素直にお前を大事にしていたのなら、根はひん曲がってないってことは確かだろうな」


思いがけない清正の言葉に、悠生は目を丸くする。
遠回しに、三成さまの元へ来てほしいとお願いをしたのだが、清正は三成を慕う悠生の気持ちを理解してくれたらしい。
そこから、三成を信頼してやろうという気にもなったようで、清正は不本意そうではあったが、ねねに説教されうなだれる正則に声を浴びせた。


「正則、万が一三成が道を踏み外しそうになったら俺達で止める。おねね様を悲しませないためにもな」

「清正ァ!?本気で遠呂智に従うってのかよ!」

「フン、馬鹿は黙っていることだな。…清正、何故考えを変えた?」


信じられないと驚愕する正則は一人置いてきぼりで、三成は鋭い眼差しを清正に向けたが、清正ははっと皮肉めいた笑みを浮かべた。


「おねね様だけではなく、"俺達が来てくれたらもっと嬉しい"んだろ?」

「な……、読めたぞ、悠生の言葉に上手く乗せられた訳だな。何とでも言うが良い。だがな、自惚れてはいつか痛い目を見るぞ」

「三成は相変わらず意地っ張りだねえ!せっかく清正が来てくれるって言うんだから、素直になりなさい!」


何を言われようとも、主君の正室であるねねには逆らえず、ちっと舌を打つ三成だが、本当は喜んでくれているのだろうと悠生は感じる。
清正が続けて「良い小姓を持ったな」と少しの疑いも無く口にすれば、三成は何を馬鹿なことをとでも言いたげに眉を潜めたが、悠生のささやかな説得を清正が聞き入れたこともあり、「そういうことにしておこう」と面倒くさそうに呟いた。



END

[ 53/95 ]

[] []
[]
[栞を挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -