いつの日か約束を



ただ守られることに、不都合が生じるものか。
そうは思うが、戦う力も身を守る力も無いか弱い娘が、誰かの代わりに守られながら生きると言うことは、想像以上に辛いことなのかもしれない。
馬超とて、いつまでも守ってやるつもりはなかった。
いつかは必ず別れの時が、終わりの瞬間が訪れる。
此処には、彼女の"居場所"が無いから。

口にはしないが、きっと不安を抱えて居るのだ、あの娘は。
馬岱が心配したのは、そういうことだったのだ。
真正面から自分だけを見て、傍で守ってくれる…そんな男が現れない限り、彼女は一人で苦しみ続けるのだろうか。
どうすれば救ってやれるのか、と考えるも、女などかつての妻しか知らない馬超には難しい問題だった。


「馬岱、お前があの無防備な娘の身を案じていることだけは理解した。だが、人の良い関平殿は、彼女を悲しませたりはしないだろう」

「若、それってつまり、関平殿に丸投げするってこと?…でも、俺も、関平殿は彼女の良き支えになっていると思うよ」


…馬超に、深入りするつもりはさらさら無かった。
親しい悠生のために、一時でも彼女を守る、その考えも変える気は全く無い。
ただ、世が平和になったら必ず、かつて交わした約束通り、悠生を馬一族の故郷である西涼に案内しようと、改めて誓った。
嬉しい、と頬を染め、まるで自分のことのように喜んでくれた…、彼女が笑ってくれると思ったからだ。



END

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