煌めきの祝福



「趙雲どの…!もう、戻ってきてください!僕のところに…」


呂布を一方的に痛め付ける趙雲の姿を、見ているのが辛い。
悠生が必死になって声をかければ、趙雲は興味を失ったように呂布を放り出し、悠生の元へと飛んでくる。
傍に寄ると、趙雲はごく自然な流れで地に膝を突き、瞬きもせずに悠生を見続けていた。
すぐ近くで目を合わせると、趙雲の瞳から輝きが失われた訳ではないことが分かった。
安堵した悠生は、ぎこちなく微笑むと、趙雲の首に手を回して、ぎゅっと抱き締めた。
見た目は冷たくたって…こんなにも、あたたかいのだから。


「ありがと…趙雲どの…大好きだよ…」


やっと、悠生は溢れ出しそうだった想いを告げた。
面と向かって言うのは恥ずかしいから、勇気を出して、耳元で愛の言葉を囁けば、趙雲はぴたりと動かなくなった。
すると、光を伴って覚醒が解け、趙雲は元の姿に戻る。
覚醒によって想像以上の体力を消耗したらしく、趙雲は悠生にもたれ掛かり、ぐったりとしていた。


「悠生、その男に勝ちは譲ってやる。だが、貴様は俺と来い」


壊れた方天画戟を引っこ抜いた呂布は、ぼろぼろになりながらも強気に物を言う。
悠生は趙雲を抱いたまま、不安げに呂布を見上げる。
呂布は素手でも戦えるだろう。
気を失ってしまった趙雲に手をかけられては、たまらない。


「早くしろ。咲良に会わせてやると言っているのだ」

「えっ、咲良ちゃんに…!?」

「よもや、顔を合わせずに最期の別れを迎えるつもりだったのか?嫌だと言うのならば、手足を切り落としてでも連れて行く」


血走った瞳で此方を睨み付ける呂布はきっと、本気だ。
呂布は考えを曲げることは無いし、手段を選ばない男だ。
それだけ、彼の中で咲良と言う存在は、貂蝉と同じぐらい大きくなっているということだろう。

慌てた悠生は、それでもゆっくりと、衝撃を与えないように趙雲を地に寝かせる。
そして、頬にそっと手を触れさせた。


 

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