この愛を囁く



「そして、僕は…不安でした…こんなの…気持ち悪いだけだし…子龍どのも、僕のこと、嫌になるんじゃないかって…」

「嫌いになどなるものか。何故、愛する貴方を気持ち悪いと思おうか。私はいつだって、貴方を愛しく感じている。このような入れ墨一つで、私の気持ちは変わらない」

「それなら、僕のことを…」


最後の瞬間まで、誰よりも愛していてほしい。
…我が儘なことを言ってごめんなさいと、消え入りそうな声で付け加えた。

国のためにも早く結婚してほしいと願い続けていたくせに、悠生は結局、趙雲の愛を独占したがっているのだ。
思わぬ本音を打ち明けられて驚いた趙雲が目を丸くすると同時に、悠生は背伸びをし、彼の唇に触れるだけのキスをする。
温もりを得て、たったこれだけで…涙が出そうになる。
好きなのだ、本当に。
愛しくて、どうして良いか分からない。


「子龍どのが好きだから…怖い…っ…でも、僕は…もっと、子龍どのに…愛されたいです。そう思うのは、いけないことですか…?」

「っ……悠生殿…!」


確かな証が欲しいと願ったら、今度は趙雲の方から、唇を重ねた。
口付けを受け入れ、悠生が瞳を閉じると、一粒、涙がこぼれ落ちた。
そこからじわじわと幸せが溢れてくるようだ。
…もっと、欲しい。
控え目に身を寄せたら、趙雲にも伝わったようで、何度も唇を合わせ、どちらからともなく舌を差し出した。


「……んっ」


舌の先が触れた途端、深く絡めとられ、悠生は甘い刺激に身を震わせる。
趙雲の手が悠生の腰を抱き寄せ、それだけで体中に痺れたような感覚が走るのだ。
すっと力が抜けていき、趙雲にすがりついてしまう。
思考までもとろけてしまいそうで…悠生は、"抱かれたい"という感情に支配されていく。
男の自分が受け身になるなんて、異常なことかもしれないけれど、悠生は心から、趙雲に愛されたいと思った。


 

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