天へと向く心



「すまない…私が優柔不断であったから、悠生殿を不安にさせていたのだな。必ず、雲緑殿を妻とすると誓おう。だが、私の気持ちは変わらない。私は…、誰より悠生殿を愛している」

「そんな言葉…僕には勿体ないです…」

「貴方だからこそ、伝えているのだよ。これほど愛しい人は他には居ない」


こんなにも真っ直ぐ、愛を与えてくれる。
その愛情は、本来ならば、妻に向けられなければならないのに。
いくら言葉にしても足りないぐらい、趙雲のことが好きだ。
何度も角度を変えて口付けられ、悠生は軽く息を乱しながらも、愛しいという想いを込め、目の前の男の名を呼んだ。


「んっ…、し、子龍…どの…好き…」

「っ……」


想いを伝えるには、相当に勇気が必要だ。
だが、趙雲と密着していた悠生は、彼が自分以上にどきどきしていることを感じ取った。
そして、ここまで切羽詰まったような、苦しげな顔をする趙雲を、初めて見た。
呼吸を整えながら、趙雲の端正な顔が歪む様をぼうっと見つめていた悠生だが、次の瞬間には、寝台に頭をぶつけていた。
押し倒されたことに気が付いたのは、先程よりも深く口付けられてからだった。


(もしかして…僕のこと…抱いてくれるの…?)


どくん、と胸が高鳴る。
押し倒されたことに対する恐怖よりも、趙雲に触れてほしいという感情に支配される。
あれほど、肩の入れ墨を隠そうと必死になっていたのが嘘のようだ。
今なら、全てを打ち明けても良いような気がする。
そして…より深く、触れてほしい。
悠生は自らの心境の変化に戸惑いながらも、趙雲の口付けに応え、もっと…と彼の熱を求めた。


「ああ…悠生殿…」

「好き…っ…大好きです…子龍どの…」

「私も貴方が愛おしい…貴方が私の子を生めなくても構わないのだ…私はこのまま貴方を抱き締めて、一つに溶けてしまいたい…」


ひとつに、なりたい。
趙雲も、同じように悠生を求めていた。
子を授かるための情交ではなく、互いの熱を感じ、愛を確かめるために、二人は体を重ねることが出来る。

趙雲の想いに勇気づけられた悠生は意を決し、ずっと隠していた入れ墨を趙雲に見せてしまおうと、服の袷に手をかけた。
すると趙雲は珍しくも慌てた様子で、すかさず止めようと手を伸ばす。


 

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