尊い絆を繋ぐ



「幼平様、お慕いしています…叶うならば、時間が許す限り…私と千春を、お傍に置いてください」

「…咲良…ああ…」


飽きるほどに抱き締めあって、互いのあたたかさを感じる…それだけで、怖いぐらいに幸せだった。
ずっとこうしていたかったが、ふと周泰は咲良の耳に唇を寄せ、そして、低い声を吹き込んだ。


「…閨へ…お連れしても…?」

「え…っあ、はい…」


お前を抱く、と直接的に言われた訳ではないが、その先にあるものを想像し、咲良は顔を真っ赤にして頷く。
咲良も、望んだことだった。
周泰は嬉しそうに咲良を抱きかかえ、その足で寝室に向かった。



この幸せは、長くは続かないかもしれない。
もしかしたら、今宵が周泰に抱かれる、最後の夜になるのかもしれない。
それでも、咲良は小春を救うと決めたのだ。
周泰もきっと理解し、咲良の旅立ちを見送ってくれる。
遠く離れても、二人の絆が途絶えることは、決して無いと信じているから。


…数年ぶりに、咲良は周泰と肌を合わせ、愛されていた。
五年も男を遠ざけていた咲良の体は処女のように繊細で、周泰も無理はさせないようにと気を使ってくれたが、愛する周泰の子種を欲するあまり、より深く繋がろうとする咲良は羞恥も忘れ、淫らに喘いだ。

溢れ出しそうなほどの精を注がれ、果てたばかりの咲良は力無くぐったりとしていたが、すぐ硬度を取り戻していく周泰の熱を身の内に感じ、切なげに眉を寄せる。


「…また…俺の子を生んでください…男児でも…女児でも…沢山、子を成してください…」

「ふふ…女の子でも良いんですか?」

「…どちらでも…。千春なら…良き姉になりましょう…」


口付けを交わしながら、未来を語り合う。
叶うならば、周泰の子を…嫡男を授かりたい。
妻としての役目を果たし、そして、千春をお姉ちゃんにしてあげたいと思うのだ。

…ずっと、此処に居させてほしい。
愛する人の傍で、生きていきたい。
咲良は何度も何度も周泰の熱を受け入れ、その度に大粒の涙を流したが、心は幸せに満たされていた。

この幸せが、未来永劫続きますように…。
願いは、世界の神に届くだろうか。
…きっと、神は思うより残酷ではない。
今度こそ、咲良は周泰と本当の家族になれるような気がした。



END

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