賑やかな宴



「……、ゆきむ…っ!!」


うわうわうわっ!?
幸村様じゃん!?顔が近い!ってか酒臭いっ!

衝撃的すぎて心臓が口から飛び出すかと思った。
叫びそうになったけど近所迷惑になるので、どうにか悲鳴は飲み込んだ。

あー、きっと、寝ぼけて部屋を間違えちゃったんだな、幸村様の客室は隣なのに。
赤い顔をした酒臭い幸村様が、大きないびきをかいている。
しかも桜を押し倒すような体勢で…、幸村様、今起きたら破廉恥連発するだろうな。

このままでいる訳にもいかないので、とりあえず抜け出そうともがいたけど、無理。
幸村様は痩せているように見えても、引き締まった腹筋を見せつけることが出来るほどの(誰よりも破廉恥な格好をしてらっしゃる)筋肉を持っているから、その分体重があるんだ。
女の子の力で、覆い被さっている体格の良い男を動かすのは無謀ってもんだ。


「幸村様、起きてください!」

「ぅ、お…やかたさぶぁ…」

「……、」


そんな、寝言まで!?
信玄様の夢を見ているのか、幸村様は幸せそうに微笑んでいた。
軽く頬をつねってみたり、耳元で幸村様の名前を呼び続けたりしたんだけど、いつまでも彼は目覚めなかった。


(もう知らん!重いけどこのまま寝てやる!)


よく考えたら男と女が密着して寝るのは危ない…、でも、幸村様なら大丈夫だろう。
信じるからな!寝ぼけて桜に何かするなよ!


(……、幸村様…天然ゆたんぽだな…)


暖房器具で得られる熱とは違う、温もり。
発熱しているのではと疑いたくなるほど、幸村様はあたたかかった。
ぬるま湯に浸っているみたいだ。
…ああ、やっと、眠れそう。

誰かと一緒に布団で眠るのって何年ぶり?
昔のことは、よく思いだせないや。
明日の幸村様の第一声が楽しみだな。
「破廉恥!」の確率ほぼ100%でしょう。



END

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