賑やかな宴



「随分と雰囲気がお変わりになられたようですな、桜姫様は」

「そう…ですか?」

「ええ。政宗様を見ていれば分かりますよ。姫様を招いているというのに、珍しく楽しんでおられた」


その言い様は、政宗様と桜が仲が悪かった事実を示している。
小十郎さんから見ても、二人は険悪な関係だったのか…深刻だ。

あとで桜に聞いてみよう。
まずは、オレが桜の気持ちを知っておかないと。
下手にお節介を焼けば、火に油を注ぐことになりかねない。


「つかぬことをうかがいますが、私、政宗様とお友達になれるでしょうか?」

「政宗様と?そうですね……、なれるかもしれませんよ。一度、腹を割って話をすれば」


それはとても曖昧な答えだった。
小十郎さん、きっと本心では、主君と関係が良くなかった女の子を、易々と近付けたくはないんだろう。

明日と、明後日か。
与えられた時間はあまり無いけど、少しだけでも…政宗様の信頼を得て帰りたい。
まだ、オレに心を許してはくれないから。



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枕が変わると眠れないってのはよく聞く話だ。
オレの場合そんなことは無いけど、暗闇とホラーな雰囲気に怯え、無駄に余計なことを考えたりして、目が冴えていた。


(困ったな…全然寝れない…)


寝返りを打ち、固く目を瞑る。
戦国時代の夜は長い。
現代よりも、時間がゆっくりと流れている気がするんだ。

オレはちゃんと波に乗れているのかな。
飲み込まれたら終わりだ。
流れ行く時に置いて行かれてしまう。


「……?」


耳を澄ませてみる。
物音一つしなかった客間に響く、襖の開く音…閉じる音。
そして、畳を歩く人の足音。

ええっ!誰か部屋に入ってきた!?
こんな夜中に、客の部屋にノックもせず入り込むとは!
まさか…夜這いじゃないだろうな?
桜姫が休んでいると分かって来ているなら度胸のある奴だ。

相手の顔を確認しようと、内心ではかなり怯えながらも声を出そうとした途端、体に重みを感じる。
お、重いッ…!
のし掛かると言うより…倒れ込んできた?


 

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