賑やかな宴



「政宗殿は、何用で某に文を下さったのでござるか?」

「アンタに会いたかった、と言いてえところだが…用は姫にある」

「…わ、私ですか?」


いきなり名前を出され、絶品料理に夢中になっていたオレは、ただただ困惑する。
政宗様が、桜に用事だって?
あれ…、桜とは犬猿の仲なんだろ?


「今日は疲れているだろう、話は明日にしてやる。Don't run away.OK?」

「は、はい」


気遣ってくれてんのか脅迫してんのかハッキリしてほしい。
用事って…何だろう?
いくら考えても想像がつかない。


「princess、酒注いでくれよ」

「政宗殿!桜殿は女中ではないのですぞ!」

「良いだろ、減るもんじゃねぇ」


何でオレが…ま、それぐらいならいいか。
甲斐でも食事の時、オレは信玄様の隣に座ってるんだけど、よくお酒のおかわりを注いでいる。

政宗様の隣に正座をし、お猪口に透明な酒を注いだ。
うわ、ニヤニヤ笑いながら桜を見るな!
何だろう、セクハラされている気分だ。


「最高だ!気分が良いぜ!真田、アンタももっと飲めよ」

「…幸村様にもお酌しましょうか?」

「うむ…かたじけない」


そもそも、戦国時代の飲酒は何歳から解禁されるんだ?
幸村様は…お酒に弱そうだ。
ちょっとしか口にしていないのに、もう顔が赤くなっている。
政宗様の前だからって無理しているのかな?


その後、テンションが高すぎる政宗様が、オレにも酒を飲めと強要する。
でも、断固拒否をした。
酒なんか飲めるか!十七歳なんだよオレは!

そんなうちに、幸村様と政宗様は酒の飲みっぷりを競い始め…いつの間にか手の付けようのない状況に。
一気飲みはやめて!危ないから!


「この幸村!政宗殿には負ける気がせん!」

「Ha!それはどうかな。俺はまだまだ余裕だぜ?」


次元が違い過ぎます。
彼らを止める自信は無いし、今朝早起きをしたせいもあるが疲れてしまったオレは、こっそりと、二人に気付かれないように…部屋を抜け出した。

幸村様、友達に会えて嬉しいのは分かるけど、あんまり無茶はしないでほしい。


 

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