明るい音楽



「Hey!遅かったじゃねえか真田幸村!」

「うおぉおっ!お久しぶりにござります政宗殿!!」


え、誰かヘイって言ったよ?
なっ、何で幸村様燃えているの!?
しかも槍を持って馬ごと城門に向かって突撃してる!

幸村様の目前には、青い鎧に身を包んだ男が立つ。
きっと彼が政宗様だ。
片目を黒の眼帯で覆った、これまた綺麗な顔立ちのお兄さん。
挨拶代わりだとでも言いたげに、刀を六本携え、幸村様目掛けて勢い良く飛び出してきた。

ええええっ!?
これってどういう状況なの!?


「佐助さん、止めなくて良いんですか!?」

「いいのいいの。いつものことだから」

「で、でも…」


これがいつものことであって良いはずがない!
ハラハラしながら見守っていたんだけど、刃物同士がぶつかって激しい音を立て…、二人は一定の距離を取った。


「HaHa!相変わらずだなアンタは!」

「政宗殿も相変わらずでござるな!」


…ケンカ、じゃなかったんだな。
楽しそうに笑う二人は、心を許し合った友達、親友のようだ。
幸村様が生粋の熱血系だから、外見からしてクールっぽい政宗様とは、逆に気が合うのかもしれない。


「Come here,princess!」

「え、あ、はい?」


かむひあだって!
驚きだ、政宗様が流暢に英語を喋っている。
普通なのか…この時代に?
海外との貿易で多用するであろう、異国語を学ぶためのテキストなんかがあってもおかしくはない、か。

そんな政宗様は、幸村様を見ていたときとはまるで違う、蛇のように鋭い瞳でオレを見下ろした。
桜は…嫌われて、いるんだよな?
必要以上に近寄ったら、その刀で斬り殺されかねない。


「こ、こんにちは」

「……アンタ、本当にあのprincessか?」

「そうです、けど」


ビシバシと疑いの眼差しが降り注ぐ…!
よく桜は怖がらなかったよな、オレなんか、足が竦んで動けない。


 

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