明るい音楽



風呂敷に包んだチャーリー君を腕に抱き、オレは平野を爆走していた。
正確には佐助さんが、だけど。

オレは何故か佐助さんの肩に担がれていた。
今、時速何十キロ出てるの?
いつもみたいにカー君使おうよ!
何でわざわざ自分で走る必要があるんだ。
せめて馬に乗れ!乗せてください。

幸村様はすぐ隣を馬で駆けている。
赤いハチマキが風になびくところはカッコいいと思ったけど、風圧が強くて二秒以上目を開けていられなかった。
馬と同じ速度か…、佐助さん、忍びが凄いってレベルじゃないと思う。


「佐助!あまり桜殿に触れるでない!」

「無理言わないでくれない?こうしてなきゃ飛ばされていっちゃうよ」

「ううむ…ならば致し方ないが…」



昨日、幸村様宛に手紙が届いたらしい。
差出人が、あの伊達政宗からだというから驚きだ(二人は友人関係だという)。
手紙には、幸村様を自身の城へ招待する旨が書かれていたそうだ。
それだけならオレは関係ないんだけど、桜姫も一緒に連れておいで、という内容も書かれていたようで…

幸村様は出発寸前まで、桜が同行することを躊躇っていた。
訳を聞けば、桜は政宗様と会えばガンを飛ばしあう仲だったとか…
それを知って一気に行く気が失せた。

桜が記憶を失っていることは政宗様の耳にも入っているみたいだけど、仲の悪かった桜にいったい何の用があると言うんですか。
行きたくない。
でも、国を治めるほど偉い人からのお呼ばれを無視したら、幸村様に苦労をかけてしまう…
キリキリと胃が痛くなってきました。


「桜ちゃん、到着したよ」

「…あ…、着いた、んですか」

「……大丈夫?」


オレが息切れしてるのおかしくないか!?
佐助さんが心配そうに顔を覗き込んでくるから、平気ですという意味で、笑って見せた。
まだ支えてもらわないとふらつくけどな…

もう空は薄暗く、無数に星が瞬いていた。
朝方を出発したんだから、大分時間が過ぎていたんだな、それでも信じられない速さで目的地に到着したんだろうけど。

これから伊達政宗様に謁見する。
いったい、どんな人なんだろう。
幸村様の友達なら、少しは温和な人であってほしいけど…


 

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