姫様の夢 その2



「わっ!?えええ、なななっ」

「……?」

「チャーリー君!!」


謎の発光体を見つけ、オレは目を疑った。
あ、あの輝きは…!
流星の如く出現した美しい金色は、紛れもないオレの相棒・チャーリー君だったのだ。


「桜!見て!チャーリー君だよ!」

「…チャーリー…?」

「そう!よかった、桜に紹介出来て」


オレの想いに答えてくれたのか、チャーリー君は夢の中に飛んできてくれた。
オレのために、勇気を一緒に持ってきてくれたんだ。
桜に、心でぶつかる勇気を。


「……、」


マウスピースに唇を当て、息を吹き込む。
そして、目を閉じる。
イメージするのは青空と…白い鳥。
そうして生まれたメロディーは、広い宇宙に響き渡った。

オレとチャーリー君の音。
桜はどう受け止めてくれるかな?


「ハトと少年って曲なんだ。良い旋律だと思わない?」


トランペットのソロ曲で親しみやすいもの、オレが真っ先に思いつくのがこれだ。
知名度も高いし、聴き手を惹きつける素晴らしい曲だと思う。
ハトは平和の象徴だしな。
明るい旋律を聴くだけでわくわくしてくる。

長い長い物語がこれから始まるんだって、青空を見上げて、怯えた少女も顔をあげて。


「…それは、難しいのか?」

「桜も吹いてみる!?」

「……、」


無言、だけれど桜は手を伸ばした。
ちょっと、いや、かなり嬉しい。
興味を持ってくれたこと、オレの演奏を聴いて何か感じてくれたのであれば、それは最上級の幸せだ。
桜になら、オレのチャーリー君を貸してもいいよ。


「そう、持ち方は……んで、そこに口を当てて…」

「こうか?」

「うん、完璧!あと、唇の形はこう、横に引っ張る感じで…難しいかな?」

「ん……」


あ、これって…間接キスになってしまう?
ご、ごめん桜!
先にマウスピースを拭いておけばよかったんだ……頼むから、気付かないでくれ。


 

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