朗らかな朝に



桜と違ってオレは、感情を隠すのは得意じゃない。
だけど、笑っていようと思ったんだ。
どうしても帰ることが出来ないのならば、オレは此処で生きるしかないんだから。
せっかく与えられた平和な環境に、文句やわがままを言ったらバチが当たる。

オレがすべきことは?
桜のためにオレが出来ることが、たったひとつでも、あると良いんだけど。

まずは、自分から動かなければいけない。
"気付き考え行動する"がオレのモットーだから!


「…いや、なんか。そっちの方が気楽で良いですね。これからもそう呼んでくれますか?」

「うん。桜ちゃんが許してくれるなら、いくらでも」


にっこりと素敵な笑顔を見せてくれる。
少女漫画なら背景に無数の花びらが舞っているはずだ。
佐助さんは普通にしていてもカッコいいのにな、微笑むだけで美形度が上がる気がするよ。


「佐助さん」


閉め切った薄暗い部屋に、窓の隙間から差し込んでくる朝の光が、佐助さんの鮮やかな髪を輝かせる。
惜しみなく降り注ぐ太陽の光と溶け合って、一つになって。
その髪の色は本来はオレンジ色なのに、オレの目には眩しいぐらいの金色に見えた。

ああ、チャーリー君。


「わ、私、佐助さんの髪の色が好きです!」


思わず告白めいた言葉を口にすれば、佐助さんは面白い表情で驚いていて(初めて見る顔だ!)オレはプッと笑ってしまった。
嬉しいな、新たな発見をした気分だ。

…オレに桜を守る力は無いけど、お前が安心して帰ってこられる場所を作るよ。
桜が愛されて、皆が笑ってくれる、そんな場所を。



END

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