感謝と感激



「Good morning,princess」

「まっ政宗様!おはようございます…」


どうしよう、さらに場の空気が悪化してしまいそうだ。
佐助さんの鋭い視線が政宗様に向く。
政宗様は政宗様で、挑むように不敵な笑みを浮かべて…、
やめてくれ!一触即発とはまさにこれのことだ。


「姫、飯は食ったのか?」

「今からです、寝坊してすみません…」

「卵焼きは、この俺が作ってやったんだ。心して食せ」


マジで!?あの政宗様が、オレのために…?

ふわっと、懐かしさを感じさせる甘い香りが、鼻をかすめる。
政宗様は女中さんが運んできた膳の箸を取り、卵焼きをオレの口に向けてきた。
意外な行動にぎょっとしてしまう。
もしかして、口を開けろと仰りたいのでしょうか…?
食べさせてくれるんですか!?
ある意味、究極の選択だ。
ここで拒否するのもあれだし…でも、佐助さんが睨んでいるし!


「……、どうだ?」

「…甘い…です」

「甘い卵焼きが好きだと聞いたが?」


うん、オレは砂糖たっぷりの卵焼きが大好きです。
もぐもぐ口を動かすと、甘い味が広がる。
オレが作ったのと大差ない、それ以上に甘いかもしれない。

政宗様、こんなに優しい味が出せるんだ。
桜を想って、心を込めて卵を焼いてくれたんだ、そうじゃなかったら、ここまで人を感動させられない。


「美味しいです。とても…」

「当然だろ?」


政宗様が笑う。
昨日の騒動がまるで遠い夢のようで…、オレたちは、自然に笑い合うことが出来た。
そう、政宗様なりの謝罪だったんだ。
プライドが高いせいで、面と向かって悪かった、なんて言えないだろうから。

大人げなくて、中身は普通に悪ガキっぽかったけど、小十郎さんが言った通り…政宗様は、優しい人だった。


「Ah……、これが俺だって?」

「某といつき殿で作ったのですぞ。力作でござろう?」

「そっくりだべ?」

「……wonderful」


キラキラした純粋な子供たちの瞳に見つめられて、さすがの政宗様もタジタジだ。
すごく、微笑ましい光景。
幸村様も、いつきちゃんと並ぶとさらに子供に見えちゃうんだよな。
…政宗様もまだ子供、かな。


 

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