感謝と感激



「そっ、某は……」

「幸村様はお優しい方ですね!いつきちゃんと遊んでくださって…、子供に優しく出来る人は、素敵だと思いますよ」

「桜殿…」


幸村様は相変わらず顔が赤かったけど、すぐに表情がゆるみ、満面の笑みを見せてくれた。
特別それらしい言葉は交わしていないけど…、一応、仲直りってことで良いのかな?

いつきちゃんは幸村様から棒を受け取り、何に使うのかなと思って見ていたら…
ぶすっと左右三本ずつ、雪だるまの胴部分に突き刺した。
こ、これは、もしかしなくても…


「やったあ!完成だべ!」

「政宗殿雪だるまにございますな、瓜二つでござる!」


そうか、この枝は、政宗様が引っさげている六本の刀を表しているのか!
単純そうに見えて、誰も思い付かなそうなそのアイディアは斬新で素晴らしい。

だけど、ゴボウは無いだろ!
最初から枝でよかっただろう、小十郎さんが許してくれるはずがないし、食材で遊ぶなって怒られてしまいそうだ。


「桜姫様、遅くなりましたがすぐ朝食を持たせますので」

「すっ、すみません小十郎さん。お手を煩わせてしまって」


申し訳無さそうに言う小十郎さん、そして、オレの後ろに立っていた佐助さん。
な、何故だろうか…バチバチと火花が散っている気がするぞ。
間に挟まれたオレは、いったいどんな反応をすれば良いんだ。


「いえ。昨夜は政宗様が失礼を…。申し訳ない。俺からも謝らせてください」

「いえ!あれは、私が余計なことを言ってしまったせいなので…」

「桜ちゃんは何も悪くないでしょ。俺様百倍返ししたくなったけど、我慢しているんだから」


うわああ横から挑発しないでくれ!
佐助さんが政宗様に仕返しをすることが出来ないっていうのは、オレにも想像出来るけれど。
小十郎さんだって謝ってくれている。
政宗様だけが悪いって訳でもないんだからさ、喧嘩するなよ、桜が落ち込むだろ!


 

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