感謝と感激
「そっ、某は……」
「幸村様はお優しい方ですね!いつきちゃんと遊んでくださって…、子供に優しく出来る人は、素敵だと思いますよ」
「桜殿…」
幸村様は相変わらず顔が赤かったけど、すぐに表情がゆるみ、満面の笑みを見せてくれた。
特別それらしい言葉は交わしていないけど…、一応、仲直りってことで良いのかな?
いつきちゃんは幸村様から棒を受け取り、何に使うのかなと思って見ていたら…
ぶすっと左右三本ずつ、雪だるまの胴部分に突き刺した。
こ、これは、もしかしなくても…
「やったあ!完成だべ!」
「政宗殿雪だるまにございますな、瓜二つでござる!」
そうか、この枝は、政宗様が引っさげている六本の刀を表しているのか!
単純そうに見えて、誰も思い付かなそうなそのアイディアは斬新で素晴らしい。
だけど、ゴボウは無いだろ!
最初から枝でよかっただろう、小十郎さんが許してくれるはずがないし、食材で遊ぶなって怒られてしまいそうだ。
「桜姫様、遅くなりましたがすぐ朝食を持たせますので」
「すっ、すみません小十郎さん。お手を煩わせてしまって」
申し訳無さそうに言う小十郎さん、そして、オレの後ろに立っていた佐助さん。
な、何故だろうか…バチバチと火花が散っている気がするぞ。
間に挟まれたオレは、いったいどんな反応をすれば良いんだ。
「いえ。昨夜は政宗様が失礼を…。申し訳ない。俺からも謝らせてください」
「いえ!あれは、私が余計なことを言ってしまったせいなので…」
「桜ちゃんは何も悪くないでしょ。俺様百倍返ししたくなったけど、我慢しているんだから」
うわああ横から挑発しないでくれ!
佐助さんが政宗様に仕返しをすることが出来ないっていうのは、オレにも想像出来るけれど。
小十郎さんだって謝ってくれている。
政宗様だけが悪いって訳でもないんだからさ、喧嘩するなよ、桜が落ち込むだろ!
[ 100/198 ]
[←] [→]
[戻]
[栞を挟む]