感謝と感激



「あっ、桜ねえちゃんやっと起きただか!」

「いつきちゃん、おはよう!」


今日も可愛いないつきちゃんは。
生足で雪の中を飛び跳ねるなんて、オレには絶対に真似出来ない。


「ねえちゃん、もうおはようの時間でねぇぞ?雪が降ってるから空は暗ぇけど、とっくに太陽はてっぺんさ昇ってる時間だ」

「そっ、そうなの!?」


寝坊してしまった…、しかも、昼なのか。
オレ、なんて失礼な客だろう。
佐助さんも、オレが目覚めるのを待っているんじゃなくて、すぐに起こしてくれればよかったのに。


「桜ちゃんの寝顔があまりにも可愛かったから、俺様時間を忘れて見入っちゃって」

「…からかわないでくださいよ…」


よく真顔で…恥ずかしいことを言えるよな、佐助さんだから許される台詞だ。
冗談だと分かっていても、その言い回しはちょっとずるい。

佐助さん、わざとやっているんだろ、オレの反応を見て楽しんでいるんだ。
桜はすぐに赤面したりする子じゃないけどさ、オレは、慣れてないんだよ!

佐助さんの思惑通りドキドキしてしまったのが激しく悔しかったので、オレは再びいつきちゃんに話しかけた。


「いつきちゃんは、雪だるまを作っていたの?」

「うん!あかいおさむらいにも手伝ってもらったんだ!おらひとりじゃ、こんなにでっかいのは作れなかっただよ」


へえ、幸村様が…。
綺麗にまん丸が重なる雪だるま、結構大きいんですよ、感心してしまうぐらい。
きっと、幸村様は、いつきちゃんのために頑張って雪玉を作ってくれたんだろう、張り切る姿が簡単に想像出来た。

小さい子に喜んでもらえるのって、凄く嬉しいものだ。
幸村様は灼熱の炎で、周りの雪を溶かしてしまいそうだけど。


「いつき殿!やはり牛蒡は貰えなかったが代わりに使えそうな棒を集めたでござる…っ桜殿!!」

「幸村様?」


ゴボウがどうしたって?
箒やら太い木の枝を何本か手にして走ってきた幸村様は、オレを…、桜を見た途端、顔を赤くさせる。
その過剰反応、やめようぜ…
面白いんだけど、そろそろ反応に困ってきたぞ。


 

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