後書き
後書き
最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございます。
結局予定よりも二倍の話数がかかってます。この作品で実感しました。私は最初にページ数を設定しても絶対に守れない! だからもう無理に制限しないことにします。……うぅ、本当に時間ばかりかけてしまって申し訳ないです。
さて、短編から長編になった狗族娘と夏侯淵のお話。
アンケートでハッピーエンドが見たいとのコメントもあったのですが、実を言いますと物語の大筋を考えた時点ですでにハッピーエンドではありませんでした。
狗族は矜持が高い一族です。夢主は夏侯淵と接したから、人間と言う種族を知り、自分達とほとんど変わらないことを知りました。
けれども他の狗族は夏侯淵を知らないのですから、如何に夢主が族長の娘だからとて、簡単に受け入れられる筈がないのです。
それを分かっていた父親が夏侯淵を見逃していたのは、娘可愛さと、すぐに出ていけば何も起こらないからと状況を楽観視していたからでした。もしこの時点で狡が夏侯淵を招き入れたと知っていれば、彼は娘の言い分も聞かずに殺していたでしょう。
色々と痼(しこり)の残る終わり方かと思いますが、むしろその方が良いかと思って敢えて夢主達や狗族のその後を書かず、曖昧にしています。…………加えて、私の締めの下手さも相俟(あいま)ってます。(-_-;)
猫族も、関羽と張世平しか絡んでません。しかもちょっとだけ。
狡が結局何をしていたのかをお話ししますと、夢主が谷を出ると同時に猫族のもとに行き、劉備に接触しました。
それから一ヶ月、じっくりと劉備の中の金眼の力を殺しています。劉備はそれにより暫く体調不良が続きますが、狡は神同様自分本位な性格で人の感覚とはまるで違うので非情にもスルー。そのまま谷に帰ります。劉備が回復するのは数ヵ月後。以後は急速に身体が成長していきます。
狗族のその後も、私の頭の中にあるものですがここでちょっとだけ触れておきますね。
夢主の父親は己を罰し尻尾と耳を切り落としましたが、その傷がもとで体調が崩れて病を患い、数年後に亡くなります。次期長に収まったのは前族長の孫。彼は遺言として言い残しています。
夢主の母親は……狡は子孫と言えど気遣うことなんてありません。気遣っているつもりでも度々そうでないことばかりです。谷が隔離された後気が済んだと勝手に判断されて夫を近くで見守ることも出来ないまま実体を消されます。
結局、彼女の願い――――狗族の谷と人間の世界を繋ぐことは無く、実体を得たことが無駄に終わったと本人が一番空しく感じているかもしれません。
――――と、まあこんな感じで、夢主や狗族のその後のことは、これ以上は割愛させていただきますね。残りは、皆様の頭の中で自由に膨らませていただければと思います。
そして最後に夏侯充と夏侯衝。
それぞれ実在の夏侯惇、夏侯淵の長子から名前を借りています。ちなみに夏侯淵の息子では蜀に逃げた夏侯覇がよく知られているかとは思いますが、彼は次男坊らしいです。そして調べてみると面白いことに夏侯淵の息子達は全て字に《権》が付くという……。
この作品では、夏侯充は物凄いお馬鹿です。両親に似ず野生の勘で行動するタイプ。夏侯衝が同じ姓であることに、何の反応もありません。兌州に用があると言ってる時点で気付くでしょうに全く気付いてません。両親も頭を悩ますくらいの野生児。
夏侯衝は女の子にしています。夏侯充のボケに対してのみのツッコミ。父親に似て弓が得意ですが、基本接近戦で戦います。
奇形児であることを全く気にしていないのは、両親に愛されていたからこそです。
今度はこの二人が曖昧なままに分かれた両親達を繋げてくれることを願って、『雪解けの後に、』を完結させていただきます。
この度、企画アンケートに参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。
四万打でも感想をいただけて、とても嬉しかったです。(^-^)
至らない管理人ではありますが、何卒、これからもよろしくお付き合い下さればと思います。
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