「あぢぃ」 「・・・わざわざ人の家まで来て、しょっぱなでそれ?」 ココは冷ややかな目でトリコを見た。 ここは、崖の上のココの自宅。 今日も懲りずにやって来たのはトリコとその彼女、燈子。 うだるような暑さから涼を求めて来たと言う訳だ・・・が。 崖の上だって、暑いものは暑い。 何と言っても今日は真夏日。雲一つ無い空のてっぺんで太陽が大きく燃え、容赦なく眼下を焦がす。 「キッスで飛んでた時は涼しかったんだよな〜」 「ハイハイ」 「何か冷たい物ねーのかよ」 「無いよ」 「外で水浴びしても良いか?」 「今からでも川に行ったら?」 「だって燈子が焦げるの嫌だって」 隣で燈子はうんうん、と頷いている。 「トリコくんに付き合ってると確実に焦げるのよ」 「多少焦げても美味いって言ってるのによ〜」 「・・・何の話?」 「何だっけ?」 「焦げるって話よ」 「あ、BBコーン?」 「・・・違うだろ?」 「何でも良いよ。脳みそが動かないくらいあぢーんだって」 「だから川に行けって。ハントがてら」 「やる気出ねぇ」 「じゃあ我慢しろ?」 「ちぇー」 トリコはテーブルに顎を乗せた。 「あづー」 「動きも汗もダラダラだな」 「なーキッスどこに行った?」 「うーん海水浴かな?」 「な訳ねーだろ?」 「な訳無いよ。あ、燈子さん紅茶どうぞ」 「あリがとうココさん」 トリコはテーブルに置かれたカップに目を遣った。 「・・・この暑いのにホット?」 「そうだよ」 「うわっ湯気?!見たくねぇ〜!」 「汗が引くハーブティーですって」 「まず熱湯な時点で汗は引かないだろ?」 「文句言うヤツは飲まなくて良いよ」 「腹立つな〜・・・てか側に置くなって!暑いって!!」 「ん?紅茶が?部屋が?」 「どっちもだよ!!」 トリコはうっとおしそうにシッシッと手を振った。 その態度にカチンと来たのか否か。ココはトリコには目を向けず、その指元にカップを差し出した。 ポチャ。 「ぅあ゛っちいぃぃぃいいぃ!!」 「だ・・・大丈夫トリコくん?」 「大丈夫な訳あるか!マジで熱かったんだからな」 「トリコの味見って変わってるよね?」 「・・・味見・・・だったの?」 「な訳ねーだろっ!!」 → |