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そうは言ってもセックスに慣らされた体は反応が早い。熱がもう身体中に回り始めて、若干クラクラしてる。絶対このおかしな雰囲気のせいだ。

「ご、ごめ…っ、俺、出ていくっ…」

上から退こうとすると、幸にベッドについてた手を掴まれる。

「行くってどこ行くの」
「えっ…あ、え、っ、と、トイレ…?」
「そんな後で使いたくない。用足しててもお前のこと思い出すじゃん」
「えっ…!じゃあ、ふ、風呂?」
「匂いこもんじゃん」
「えぇ…っ」

ちょっと涙目になる。いや、もう処理する場所ってそこぐらいしか思いつかないんだけど…。

もうむしろ外とか?とか思い始めたとき。
幸が俺のベルトに手を伸ばしてきた。

「え、ちょっ、なにやってんの!?」
「ここで抜けばいいじゃん、後で換気できるし」
「え、や、だ、だって」

ここ、幸の部屋じゃん!?
なんせ一緒に寝泊まりしてる部屋。さっきまでここで2人寝転んで遊んでたのだ。その部屋で、抜く…とか…。

しかし、そう思ってる間に幸はベルトを外して、下着に触れてくる。
思わず、ビクッと腰が震える。上に乗りかかったままの状態で変に起き上がることもできず、幸の手が股間部分に触れる。

「めっちゃ勃ってる、ここで抜けば?」

そう言ってジッと顔を見つめられる。さっきも勢いでキスした。その距離感で見つめられると、より変な熱みたいなのが体の中から上がってくる。

「で、でも…」

自分の中でグルグルとせめぎ合い始める。この流れってダメじゃないか?こうやっていつも身体が流されておかしくなる。今までと同じじゃないのか?
そう思っても幸に見つめられると、胸が締め付けられるような感覚になり、呼吸も浅く早くなる。どうしていいかわからない。動きたいのに、なんだか動きたくない。

だけど、幸が俺の顎を掴んでそのままキスをした。二度目のキス。でも、先ほどとは違って噛み付くように角度を変え何度も唇を貪られる。
触れられた股間部分はより熱を増し、身体中が気持ちよくなりたいという感情でまわりはじめる。

幸がすり、と下着の隙間に手を伸ばした。

「いい、よね?」

幸の端正に整ったクールな顔…、でも少し熱のこもった瞳に俺はうんと頷いてしまった。






「っ、ん、くっ…!」
「声出してもいいのに。外には聞こえないから」
「あ、っ!やっ…、だって…!」

ぐりぐり、と先端を弄られてしまえば、「あ…っ!」と上げたくもない声をあげてしまう。
ぬちぬち、くちゅくちゅ、と汁で濡れた性器を扱かれ、ヒコたんとは違う細くて長い指が繊細な加減で摩ってくる。焦らされてるような、でも細やかで優しい手つきが、なんだか幸らしくて、胸の内側がくすぐられた。

俺の体はもう力が入らなくて、いつのまにか幸と2人で横に倒れ込んでいた。幸が追い詰めるように俺のを扱くから、気づけば幸の腕に縋りついていた。
「ぅ、っ…、ん…っ」

唇を噛み締めると、幸の空いた手が俺の唇に触れてくる。意固地になるな、と言われてるみたいだった。
唇に添えられた幸の指を甘噛みする。そうすると幸は何か堪えたようなもどかしい顔をした。
そのまま視線をずらせば、幸の下腹部が目に入る。

幸だって勃ってるじゃん…。
なぜか熱くため息が洩れた。興奮してるのか…?自分でもわからないけど、気づいたら手を伸ばしてた。

「ちょ、なにやってんの…っ」
「俺もする…」

幸が俺の腕を掴んでくるが、俺はそんなの無視して幸のズボンをさすり上げる。それに幸が反応して、掴んでいた手が震えた。

「俺のは、いいって…っ」
「俺ばっかりやだもん。それにこんな、キツそうだし…」

そう言って幸の柄が大きいベルトを外し、幸のを取り出す。初めて見た幸のは大きいと言うわけではないが、綺麗な色をしていて長さは俺ぐらいあった。あれ…?俺より身長小さいのに……。
そんな邪念は振り払い、そのまま幸の性器の根本から亀頭まですいーっと丸めた手を動かす。
そうすれば幸が小さく呻き、俺に触れていた手の力が弱まる。感じているのか、そう思うと好奇心に駆られたように、くちくちと気持ちよさそうなところを探りながら、摩り上げる。
幸は「いや…、やっ…、おまえ…っ、ば、かっ」と呻きながら顔を逸らす。顔が上気して真っ赤になり、こちらを睨んだ目が女の子のように濡れた目になった。そんな幸にドキドキ、と心臓が早まっていく。こんな顔を見たこともないし、こんな気持ちになったこともない。幸の感じてる顔が見たくて下から覗き込みながら性器の裏筋部分をしつこく擦っていると、幸がそれに気づいて怒ったように俺の身体を引き寄せた。

「調子のんなバカ!気持ちよくなるなら一緒だ…!」

幸は俺のをぴたりと触れ合わせると、大きく手で包んで擦り合わせ始めた。幸の性器と俺のがびたり、とくっつき、幸がもつ熱と透明な粘液が絡み込んで頭が一瞬トびかける。
久々に触れる暖かい人の体温に、俺はあっという間に身体が開いてしまう。幸のと一緒に擦り合わされてもう気持ち良くなることしか考えられなくなっていた。

「あ…っ、やば、っ」

イキそう。
腰が自然と揺れ、自分から幸の身体に擦り付けるように抱き合う。腹奥の熱と甘やかな快楽刺激に腰が震えている。やばい、もう出そう…。



……しかし、そう思ったと同時に、違和感を感じた。

イキそうなのに、最後の頭が真っ白になる感覚が来ない。イく感覚がしない、と言った感じだろうか。さらにそれどころか、なんだか先程固く張り詰めていたものが緩くなり、勃ち具合が悪くなっている。そう、気づけば気づくほど先ほど上り詰めていた感情が冷めていく感覚がする。

どういうこと…。


さすがに、幸も俺の異変に気づいたのか、扱く手を止める。

「どうした…?」
「え…っ、あ……」
「…もしかして気持ち良くない?」
「ーーー違うッ!」

俺はそんな風に思って欲しくなくて食いかかるように否定した。
気持ち良くないなんてことはない、むしろさっきはイキかけた。だけど、なぜかイケなかった…。どうして。わからない。俺の身体になにか起きているのか。

この状況に戸惑う。急に自分の身体が言うことを聞かなくなり、恐怖心すら感じる。
そんな俺を見ていてか、幸が優しく声をかけてくれる。

「もしかしたらさ、極度のストレスで勃たなくなってるのかも。最近色んなことあったし…疲れてるんじゃない?」

だから、気にするなと笑う幸。ぽんぽんと頭を撫でられ、ちらりと幸の顔色を伺えば、「大丈夫だ、今疲れてるだけだから」と優しく笑いかけてくれる。もしかしたら、幸の方がショックを受ける出来事かもしれない。それなのに彼は俺を安心させるようにただひたすら俺の頭を優しくなでてくれる。
そんな幸に心臓がきゅうっと締め付けられ、いじらしく、また愛おしいものを感じる。

幸の体をドンっと押した。
幸が驚いた顔をしてこちらを見る。しかし、俺はそれも構わず、上に乗り上げ、下へとかがみ込んだ。

「…っ!?ゆ、裕里…!?」

名前を呼ばれた。
それだけで胸の中が熱くなる。
顔だけで見下ろしてくる幸を上目遣いで見上げて微笑んだ。

「幸だけでも気持ち良くなって…?」
「は…ッ!?」

俺は幸の反り上がった性器を咥えた。薄い皮膚を舐め上げ、零れ落ちる濡れた粘液を啜る。

「〜〜ッ!!ぅ、あ…っ、裕里っ…!ゃ、め、…ッ!!」

幸は先程とは比にならないほどの震えを全身に走らせた。俺はそれにつられるように何度も何度も口内に幸の性器を行き来させる。
内頬や舌に幸の性器があたり、たまに心臓のように脈打つのに、下半身が濡れてくる感覚がする。
幸が感じてる。それだけが嬉しくて嬉しくて、息が苦しくても顎が疲れても幸のを咥え続けた。

「…ぅ、ッ…あっ…い、イくっ…!!」

幸がとっさに俺の髪を掴み、離させようとするが、気持ちいいのかかき混ぜるように、指には力が入らず、手が滑っていく。
腰があがる幸に俺は合わせて激しく口内の性器を出し入れし、幸の気持ちいいところだけを待った。

…グッ、と喉奥に幸のちんこがあたった。

「っ、あっ、ああっ…!!」

その瞬間、幸の甘くて上ずった喘ぎと共に、塩気のある粘液が口内いっぱいに吐き出される。
突然のことに思わず飲み込むと、なんとも言えない苦味が喉いっぱいに広がり、「幸の精液だ…」と知覚した。


俺のは我慢汁が垂れつつもすっかり萎え切ってしまっていた。でもそれでもよかった。幸が気持ちよくなってくれたなら。幸が俺に感じてくれたなら。
瞼を閉じて熱く息を吐くことしかできない幸に、俺は胸いっぱいに何か言い得ぬ達成感のようなものを抱いていた。



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