ピンク色したカメレオン | ナノ











名残惜しげにゆっくりと携帯を閉める。相手の声を忘れないうちに横になり顔まで布団を被る。普段あまり会えないだけ会いたいという感情は向上し制御できなくなる。家に帰って電話をかけるときだけが一日の中で一番幸せな時間だった(安い男だなんて言わせない)

その日の夜はまるで何かが夢の世界へ自分の意識を向かわせない様に暗示をかけているような位長く感じてなかなか寝付けなかった。もぞもぞと布団の中を動いているとさっきまでずっと握りしめていた携帯から着信音がなった。布団から飛び起きて画面の表示を見る。最初は表示されていた名前に呆けていたが次第に着信音が大きくなっていく様な気がして急いで発信ボタンを押す。

「もしもし」
「つなみさん?」
「悪りぃ迷惑だったか?」

迷惑じゃないです。むしろありがとうございます。そうやって相手のことを気遣う綱海さんも好きですよ、なんて失礼かもしれないかもしれませんが。綱海さんに教えたいことは沢山あるんですよ?豪炎寺さんが新しい技を考えてる途中に、鬼道さんとぶつかって大変だったとか。円堂さんはいつもかっこいいなぁとか。あ、でも今やりたいことは、思いっ切り綱海さんを抱きしめることです。

「立向居」
「はい」
「会いたい」

その言葉を聞いた瞬間ばっと体を動かし時計を見た。そしてすぐに地面に落ちてるジャンパーを拾いあげる。

「綱海さん!今からそっちに行ってもいいですか?」

かなり高い声で「待て」と言っていたが聞こえないふりをして携帯を閉じる。あとであやまらないと。そして全力で家の階段を駆け降りていく。これほど貴方までの道のりが長いだなんてと立向居はまだ限りなくなる階段の一番下を眺めて苦笑いした。向かっている途中にうるさいとか言われたけれどもそういう周りの声も耳を通り越してしまった。

このあと綱海さんのところへたどり着くまでそれほど時間はかかりませんでしたよ?俺の腕の中いっぱいに抱きしめた綱海さんは、潮の匂いがしました。








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