「不動、こっちを向け」 「はあ?・・・あっ」 ゴツン、鈍器で殴ったようなおとがした。頭を下へ傾けると鮮血が額を滑る。足元には赤い小石が転がっていた。横目で鬼道を見ると相変わらずの表情だったが、ゴーグルの裏で笑っているように見えた。 「いっ、てぇ」 「痛いか」 そうか、と今度こそ鬼道が笑った。ああ本性を現した。この変態。彼は自分が恥ずかしいようなことをするとき、必ずなにかしでかす。所謂、照れ隠しだ。こんなにオーバーな照れ隠しは、総帥以来だと不動は呟いた。 「何がしたいわけ?」 「強いて言うのならセックスをさせろ」 これが鬼道有人なのだ。瓜二つとはこのことだ。不動は額を押さえながら口元を吊り上げる。二人の手には小石が握られていた。 ------ 不器用な二人 |