どうしようもないくらい | ナノ











気がついたら愛用のグローブがなくて枕の下から布団の中まで必死に探したらベットの上に座ってる綱海が手にはめて遊んでるんだからそれはもうがっくり肩を落とした。

「俺のグローブ返して下さい」
「いいじゃねぇか今日はもう練習ないんだし」
「洗います」
「お前このグローブ洗ったことねぇじゃねぇか」
「ど、どうしてそれを!?」
「図星だったのかよ…」

円堂さんと握手した日からずっと消臭剤だけで匂い消してきたんです、と自慢ありげに立向居は語り始める。立向居話を聞いていない素振りをするとすぐ怒るんだ、これはあと10分はこの体制じゃないと駄目だな。話が終盤に近づいてきたなとなるとさっきまで言おうとしていた言葉を頭の中から引っ張り出す。この一言を言えば、彼はきっと血相変えて吠えるだろう。それでもこの匂いにこれからさき耐えていける自信はなくて、しぶしぶ顔をあげた。

「明日洗ってくる」
「はい?」
「あしたこれ洗ってくるからな」
「………」
「あれ、おこらねーの?」

怒らないですけど…実際ちょっと汚れが目立ってきたんで洗おうと思ってたところだし

「でも」
「でもぉ?」
「洗った後、綱海さんいっぱい触ってくれます?」

それはもう破けるくらい、なんて真顔でいうものだから腹を抱えて笑った。

「毎日枕元に置いて寝てやるよ」

ただし毎日洗ったグローブとだけど、と意地悪すると頬を風船みたいに膨らませた立向居がこっちを顔を真っ赤にして見ていた。こういうときは可愛いんだけどな。

「それで結局のところ俺と円堂どっちすきなんだよ」
「好きすぎて困ります」
「噛み合ってねぇ」


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平和すぎるこのふたり








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