世界が嫌になった日を語ります | ナノ











♂春奈→♀源田→♂鬼道の兄弟争いに巻き込まれた源田


その日はちょうどお兄ちゃんの誕生日でした。朝に家を出るときから妙にそわそわしているお兄ちゃんに二番目におはようといって源田さんは俺たちの家へ来ました。今日は休日だからと言ったお兄ちゃんと一緒に出かけていくのを玄関の中で見送ります。お兄ちゃんはかっよこくてサッカーができて俺の自慢のお兄ちゃんです。でもその日はやけにお兄ちゃんを睨んでいた覚えがあります。

「うわっなんでそんなにびしょびしょなの」
「途中で通り雨に出くわしてな」
「鬼道、着替えてきた方がいい風邪をひくぞ」
「そうだな」

お兄ちゃんは源田さんを玄関へ残して自室へ行ってしまいました。俺は源田さん用のふわふわのタオルを渡しました。源田さんはありがとうと俺のほうをみて微笑みます。ちょっと危なかったです。

「源田さんはお兄ちゃんのどこが好きなんですか?」
「え?」
「ほら、顔とか、あるじゃないですか」
「なんで」
「いいじゃないですか、兄弟だし」

しばらく困ったような顔をした源田さんはしどろもどろに口を開きました。さっきの会話から2分と19秒後のことです。

「全部、かな」

これがいけてる男子に骨抜きにされた女子の言葉ですよね。本で読んだことがあります。ベタだなって笑って本を閉じたあの時より憎く感じました。そうですかと返事をする前にお兄ちゃんは帰ってきて送っていくと源田さんを連れてまた玄関の扉を閉めます。俺の手には源田さんの使ったタオルがひとつ。その日初めて世界が大嫌いになりました。


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「世界が嫌になった日を語ります」
勝手に鬼道さん出してすみませんでした…春奈ちゃんの一人自称を俺にするのが楽しかった。








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