3コールの法則 | ナノ








学パロで恋人未満



「あ、」

先客がいることは珍しいことではないが、彼を見るのは比較的珍しい。こちらに気付いてない彼はずっと空を見上げていた。彼にはどちらかというと避けられているような気がして日々仕方なかったのだ。(理由はわからないけど)だから俺は今日こうして気晴らしに授業を抜け出してきたのだ。正式には頭を悩まされる生徒たちに誰が好きなのだと問い詰められ、逃げて、きた。(我ながら恥ずかしい)
生徒というのはルークでそれはもう彼のテストやら通知表をつける度に酷い頭痛に見舞われるくらい、赤字がいっぱいなのだ。ちなみに俺はルークのクラスの担任で数学担当なのだ。だからこんな天気の良い日に気分転換でもしないとやっていけない。
丁度時刻は4時限目にはいったくらいで、朝ご飯を食べ損ねてきたこともありお腹の調子は栄養をとりいれる準備で万端だ。いざ早めの昼食と思えば、ルークの双子の兄の、アッシュが居たわけだ。考える間もなく口が動いた。

「やぁ、アッシュ」
「…ガイ、か」
「ガイか…とは失礼だな」

苦笑いしてアッシュの方を見遣ると彼の目線は自分じゃなく、自分の手にあることに気が付き理解しやっと手に持ったビニル袋を背で隠す。同時に顔の熱が騰がるのがわかった。これはかっこわるい。

「食欲旺盛、だな」
「まあ、そうかな…ところでアッシュはどうしたんだ?」

彼は普段なら授業があるはずだ、羞恥心を紛らわすために見上げた空は真っ青だった。その行動を見た彼の目が少し揺らいだ気がして確認のために振り向けば唇を噛み締めている彼がいた。

実は俺が屋上に来たわけは早弁の他にもう一つあって、それはルークに教えてもらった情報を頼りに来たものだった。彼が、アッシュがよくここで昼食をとるらしい。アッシュといつも一緒のルーク(軽くブラコンを患っている)が言うのだから間違いない。
といっても教員が生徒と一緒(しかも下心満載)で昼食をとるわけにもいかない、としぶしぶ時間をずらしてきたのだが。フェンスの下ではルークの元気な声が聞こえる。どうやら体育のようだ。
アッシュが固く閉ざしていた口を開いた。

「別に、」
「別に?」
「…空が、見たかっただけだ」

そういう彼の手元に転がったかわいい巾着袋を見つけて、思わず口元を緩めずにはいれなかった。いくら通知表が良くても人間だし、さぼりたくもなるよなぁとくだらないことを考えていたら、アッシュ転がっている巾着袋を片付け出し横目で何かを促す。もちろん目線は俺、自身で。

「俺もだよ」

隣を拝借して、彼と少し早めの昼食をとるのだ。ある日の天気の良い日だった。



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title:コランダム


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