「みてください源田さん」 そういう彼女が指す先にあったのはほど好い膨らみをもったものだった。思わず凝視してしまってから気付いたが、そういうことを言う相手は考えた方がいいと苦笑いするしか無かった。 「源田さんはあるんですか?」 「いや、俺は男だから」 「でも源田さんならありそうです」 そして彼女は源田の胸へ頭を寄せた。手を使ってぺたぺた触ったり感触を確かめたりしてから顔をしかめた。 「かたい」 「だろうな」 「わたし、に」 「ん?」 「わたしにあって源田さんに無いものなんてあるんですね」 びっくりです。そう呟いた彼女の手に、握る力が強くなったのを源田は見過ごさなかった。きっと彼女は自分と同じように寂しいんだと思った。 「牛乳を飲めば大きくなるだろうか」 「身長は伸びますけどね」 「それだと困る」 「身長はなくてもこまらないです」 「ずいぶんと反抗的だな」 生意気だ、とも言った。 少し不満そうな彼女を横目に小柄な彼女を抱きしめてやる。腕の中で彼女は小刻みに震えて笑っていた。 |