「おー立向居か?わりぃ今日も遅くなるから飯は冷蔵庫の中にある昨日の余りもので我慢してくれ」 返事も聞かずに切られた携帯をじっと眺めていたら後ろから先輩方に肩を叩かれて飛び上がった。急いで腰ポケットに携帯をしまい次の試合に向けて精神を集中させた。 かれこれ数時間つきっぱなしのテレビを眺めていたがただ動く物体を捉えてるだけだったためその内容は耳の右から左へと通り過ぎていった。目の前にある料理は先ほど温めたばかりだったと思っていたがすっかり冷めていた。手と手をもじもじさせたり足をばたつかせたり暇を持て余していると特有の鉛を叩いたような音がした(鍵を開けるときにこんな珍しい音がでるるのはこのマンションだけだなぁと綱海が関心していたことを思い出した)リビングのドアが開くと同時にその人は現れた。 「プリン買ってきた」 「そんなもので許されると思ったんですか」 「んーこれとキスくらいで許してくれると思ってた」 そう言い綱海が両腕を前へ差し出し促す。立向居はその酷く柔らかい肌触りのする髪の毛に手を添えてそのおいしそうな唇に齧りついた。数回舌と舌を絡めてやると耳からはひゅっ、ひゅっと呼吸の音が聞こえる。綱海の足は小刻みに震えだし膝がかくんと折れ曲がり地面に座り込んだ。すると立向居はそれに続くように唇を離しすぐに解放した。普段よりあまり続かずに終えてしまった接吻に疑問を抱いて綱海が見上げる。そして先ほどの行為を酷く後悔した。 「カラメルの味がしました、帰る途中つまみ食いしましたね?」 ------ 綱海絶体絶命 |